沖縄県名護市の北側に浮かぶ古宇利(こうり)島の沖合。水深45mの青白く濁る海底に、米海軍の高速掃海艦「エモンズ」(2050トン)は横たわっていた。壁の大きな穴、散乱する食器やベッドに残る「生」の感触…。真っ暗な艦内でライトに浮かぶ戦闘の痕跡に圧倒された。
エモンズは昭和20年4月6日午後、日本軍の特攻機が5機突入して大破、炎上した。漂流する艦が日本に利用されることを恐れた米軍は翌朝、自らの砲撃で沈没させた。エモンズの乗組員約250人の半数余りが死傷、数十の遺体は艦とともに沈んだ。艦上で目撃された特攻機の搭乗員の亡きがらも、海に消えた可能性が高い。
艦橋で重傷を負いながらも生還した乗組員、エド・ホフマンさん(88)は「特攻は圧倒的だった。当時、敵のことを考える余裕はなかったが、日本の文化や宗教観を知った今、カミカゼとなった彼らの勇気を悲しみとともに理解できる」と振り返る。
現地で水中慰霊を続けるプロダイバー、杉浦武さん(47)は「陸上と比べて海中戦跡の調査や保全、慰霊は不十分」と訴える。
69年間、海底に残る鋼鉄の墓標。帰還を果たせなかった日米両軍将兵の魂は、今もここに眠っている。
(正論調査室 塩瀬崇久)
探訪・沖縄・古宇利島沖「米艦エモンズ」1/3 特攻機とともに沈む鋼鉄の墓標
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