北方領土墓参団に同行して歯舞群島へ向かった。小舟に乗り換え秋勇留(あきゆり)島に上陸、腰の下まで伸びた草を踏み分け急な斜面を登る。ロシアの国境警備隊に先導されて着いたのはオタモイ墓地。深い霧に視界がかすむ中、6年ぶりの慰霊祭が行われた。
志発(しぼつ)島、多楽(たらく)島、水晶(すいしょう)島、勇留(ゆり)島、秋勇留島と、周辺にある貝殻島などの小さな島から成る歯舞群島は北方四島のひとつ。コンブ漁が盛んで終戦時は5281人が生活していた。
総面積は100平方キロで北方領土全体の約2%に過ぎないが、驚くのは北海道からの距離。根室市の納沙布岬から最も近い貝殻島まで3.7キロ、水晶島でも7キロ。日本の携帯電話で国内通話や通信も可能だ。
歯舞群島の住人はロシア国境警備隊だけだが規模や人数は不明。ロシア人が住む国後、択捉、色丹の3島は、ビザなし交流で上陸できるが歯舞群島はそれもかなわない。近くて遠い日本だ。今回は水晶島にも上陸したが、いずれも施設などの撮影は禁じられた。
水晶島で生まれ11歳で脱出した元漁師、本村清さん(80)は「故郷の目前でコンブ漁をしてきたがロシア船に拿捕(だほ)されるなど危険な目に何度もあった。生まれた島に自由に行けないなんて情けなくて悲しい…」と唇をかみしめた。北方領土の墓参は今年、50年目を迎えた。
探訪 納沙布岬沖3.7キロ近くて遠い日本 北方領土・歯舞群島
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