北海道根室市の南約3キロに浮かぶユルリ島とモユルリ島。北海道の天然記念物でもある自然豊かなふたつの無人島には、北方領土を除く国内で唯一、エトピリカの営巣地がある。
アイヌ語で「美しいくちばし」を意味する海鳥で体長40センチほど。1年の大半を外洋で過ごし、繁殖のため5月ごろ島に飛来、断崖に営巣する。産卵、孵化を経てヒナが巣立つのは8月末。北方領土では数多く繁殖するが、ユルリ、モユルリ両島で確認される個体は20羽ほど。島にはラッコやアザラシなど珍しい動物も生息するが、上陸は厳しく制限され、目の当たりにするのは難しい。
環境省の繁殖調査に同行してユルリ島に入った。早朝、草をかき分け観測地点に着くと慌ただしく飛び回るエトピリカが遠くに見えた。調査チームは、餌の小魚をくわえた親鳥が同じ巣穴を2度訪れるとヒナがいると判断する。
調査は今年で17回目。初回から参加している北海道立総合研究機構の長雄一道東地区野生動物室長は「毎年、少しずつ減っている印象。海に20メートルも潜ってエサを捕るため、定置網に引っかかることもある」と危ぐする。定期的な上陸は生物の現状把握だけでなく、国境周辺の無人島を守るうえでも意義がありそうだ。
探訪 北海道・根室沖のエトピリカ 北の海 自由に行き来
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