京都市の中心部から北西へ約20キロ、北山地区の斜面に独特の幾何学模様が広がる。植樹による林業地としては日本最古とされ、600年ほど前から続く「北山杉」だ。
一帯は川端康成の小説「古都」の舞台としても知られる。室町時代、北山杉は茶の湯文化に欠かせない存在で桂離宮にも使われている。細く強く、なめらかで光沢があるのが特徴。中でも、自然に波状の凹凸ができた「天然出絞(でしぼり)丸太」は高値で取引される。
植樹から出荷までおよそ30年。節のないまっすぐな丸太を作るため、2年に1度の枝打ちは欠かせない。職人の知恵と技が生み出す丸太の価格は、一般的な国産建材の数倍になることもある。日本家屋の床柱に使われることが多い北山杉は、建築様式の変化で販売は減少の一途。ピーク時の昭和63年度に比べ昨年度はおよそ10分の1、約1万本に落ち込んだ。
北山で林業を営む岩井さんは「現状は厳しいが、高価でも美しさと職人技は世界最高水準と自負している。北山杉を知ってもらうためにも、この風景を観光に生かすべき」と話す。また、岩井さんは「知恵を絞って新たな杉の使い方を提案することも必要」と訴える。
10月17日、「京都北山丸太生産協同組合」で今年度初の北山杉の競りが行われた。出品されたのは2130本。会場には威勢のいいかけ声が飛び交った。
探訪 京都市「北山杉」伝統が織りなす幾何学美
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