山あいの小さな町に高く長くそびえる石垣。その上には、ところ狭しと家が立ち並ぶ。夕暮れ時、しとしとと降る雨にぬれた石は、オレンジ色の街灯を反射して、独特な景観を際立たせた。
富山市八尾町の高台に広がる旧市街地。飛騨の山々から流れる幾筋もの川が集まる特有の地形のため、古くから一帯は度重なる水害に悩まされていた。江戸時代、川の氾濫から逃れようと、街の人々が高台に町を開いたのが石垣の起源。眼下を流れる井田川からの高さは約30メートルにもなる。
富山市建設課によると、町ができた当時の石積みを踏襲するように、本格的な石垣を整備したのが昭和40年代。今では灯籠を模した街灯や展望デッキなども整備された。時にはライトアップも行われ観光スポットになっている。越中八尾観光協会の楠純太さんは「当たり前のように高台に住んでいるが、先人たちの夢と希望が込められた貴重な環境なんです」と話す。
石垣沿いに坂を登ると、毎年9月に行われる「おわら風の盆」の舞台となる、風情ある町並みが姿を見せる。三日三晩にわたり踊り手たちが道筋で踊りを披露する祭りには、全国から20~25万人が訪れる。江戸時代には養蚕や職人の町としてにぎわい、町民たちは風の盆のほかにも豪華な曳山が町を練り歩く「越中八尾曳山祭」など、多くの文化を育てた。
探訪 積み上げられた先人の思い 富山市八尾町 石垣の町並み
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