米国ハワイ州・オアフ島の真珠湾。夕暮れ時、日米開戦の舞台になった軍港が一瞬、赤く染まった。
傾く太陽を戦艦ミズーリが反射する。昭和20年9月2日、この艦上で日本は降伏文書に署名した。写真手前の海底では16年12月8日(日本時間)の真珠湾攻撃で沈んだ戦艦アリゾナが眠り、船体の上に浮かぶように白い記念館も建つ。開戦の海にたたずむ終戦の舞台…。先の戦争を象徴するような風景は穏やかな空気に包まれていた。
全長270メートル、高さ64メートルのミズーリは米国で「最後の戦艦」として知られる。朝鮮戦争後、一度は引退したが近代化されて再就役、平成3年には湾岸戦争に投入された。4年に退役、11年から真珠湾で記念館として公開されている。米国本土からの観光客が多く日本人は少数という。
訪れた人たちは調印式が行われた右舷デッキや降伏文書の複製などに見入る。 調印式は、連合軍最高司令官マッカーサー元帥らが出席し東京湾上で行われた。乗員や報道陣など数百人が見守るなか、乗艦した日本代表団は重光(しげみつ)葵(まもる)外相、梅津美治郎(よしじろう)陸軍大将ら11人だった。
「視線が鋭い矢になって皮膚を貫き、肉を裂き、骨を刺した。人間の視線がこれほどの苦痛を与えるものだとは…」。緊迫感を物語る、こんな代表団の体験談も残る。
「この説明をデッキで聞いて年配の日本人女性が涙したのが忘れられない」。ミズーリ記念館のマーケティングマネジャー、ダン・カワイさん(31)は話す。そして「日本人来場者が少ないのは残念。大きな歴史に触れてほしい」と付け加えた。
ミズーリの右舷後方には零戦の特攻を受けた痕跡も残る。日本人に人気の観光地、ワイキキから十数キロの地で、さまざまな思いが頭をめぐった。
記憶の風景-戦後70年 海戦の海に終戦の舞台 ハワイ・真珠湾 戦艦ミズーリ
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