「ワンワン、ワン!」。がれきに埋もれたわずかな隙間に向かい、犬が吠(ほ)える。何かを訴えるような声が響き、駆けつけた男性が大声で「誰かいますか!」と呼びかけた。
ここは兵庫県伊丹市にある「日本レスキュー協会」の訓練施設。優れた嗅覚(きゅうかく)を使って、災害現場などで行方不明者の捜索をする「災害救助犬(レスキュードッグ)」を養成する。
協会が設立されたのは平成7年9月。同年1月の阪神大震災で、海外から派遣された災害救助犬の活躍がきっかけだった。
その後は、新潟県中越沖地震やインドネシア・スマトラ島沖地震など、国内外の多数の現場に救助犬と訓練士を派遣している。東日本大震災でも、発生当初から現場に入った。
「よし、行け!」―。〝相棒〟の訓練士のかけ声でトレーニングが始まった。大阪国際空港の北側にある訓練場。がれきが散乱し、鉄骨がむき出しになった現場を体を低くして歩き回り、人の背よりも高く積まれたドラム缶を軽々と跳び越える。鉄骨が組まれた足場に渡された15㍍ほどのつり橋をゆっくりと進む。
あらゆる「災害現場」を想定して設定された訓練は、雨の日も、日が落ちた夜も途切れることはない。
協会には現在、10頭の救助犬が在籍し、トレーニングに励む。5歳のジャーマン・シェパード・ドッグのメス、「エイト」は、昨年8月の広島市北部の土砂災害で初めて現場を踏んだ。
家屋が押し流され、大量の土砂に覆われた現場。足場の悪い中を、エイトは泥にまみれ必死に行方不明者の捜索を行い、亡くなった方を見つけ出した。
設立当初は、認知度が低く救助犬の受け入れを断られることもあったという。災害救助犬に関する基準がないなど課題は山積する。しかし、避けては通れない自然災害の〝その日〟に備えて、救助犬は今日も訓練に向かう。
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助けを待つ命のために 災害救助犬
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