明治期の先人たちのロマンを映した水面は、陽光できらめいていた。近代日本の代表的な土木事業の1つ「琵琶湖疏水」を大津市から京都市まで観光船で巡る約7・8キロの航路で報道陣向けの試乗会が行われた。レトロな産業遺産や、古都ならではの社寺など風情のある建物が並び、シーズンには桜が咲き誇る疏水沿い。薄暗いトンネルを抜ける船旅に冒険心もくすぐられた。
スタートから5分もたたないうちに、真っ暗な第一トンネルに差し掛かる。入り口の東口洞門には、初代総理大臣、伊藤博文が「気象萬千(さまざまに変化する風光は素晴らしい)」と揮毫した扁額が掲げられている。歴史の薫り漂う体験ツアーにふさわしいお出迎えだ。
トンネルを抜けると、牧歌的な風景が眼前に広がった。春の訪れを感じさせる陽気のなか、まだ桜は二分咲きだったが、沿道には、散策したり、お弁当を広げたりする人の姿もあった。船は歩くよりも少し早い時速約8キロのペースでゆったりと航行。揺れはほとんどなかった。
4つのトンネルを経て、赤煉瓦の代表的近代建築「旧御所水道(旧九条山浄水場)ポンプ室」が最後を飾った。
大津市と京都市を結ぶ琵琶湖疏水。昭和?年までは、米や伏見の酒などを運ぶ運搬船が往来したが、鉄道など交通網の発展により船便は途絶えた。
約26年ぶりに復活した船下り。約1時間の船旅で、明治期に多くの困難を乗り越えて疏水を完成させた先人たちの思いに少し触れられた気がした。
琵琶湖疎水の試乗ルポ
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