「貴様と俺とは…」で始まる軍歌「同期の桜」。その名で呼ばれるソメイヨシノの古木が実在する。
広島湾に浮かぶ江田島にある海上自衛隊第1術科学校(広島県江田島市)の中庭。高さ約10㍍。苔(こけ)むした根元から突き出た7本の幹から枝が見事に広がる。樹齢には諸説あるが、築120年以上になる庁舎の赤レンガに映える姿を見ると、「100歳以上」という説にもうなずける気がする。
一方、歌のルーツは同校の前身、海軍兵学校時代に学んだ帖佐裕(ちょうさ・ひろし)海軍大尉(故人)が、昭和14年発売のレコード「戦友の唄」を基に、替え歌として口ずさんだのが始まり。
帖佐大尉は昭和14年12月入校の71期生。後に特攻兵器・人間魚雷「回天」の第1期搭乗員となったが、それ以前から仲間内で歌っていたらしい。「見事に散ろう」「靖国神社で会おう」と誓い合う言葉が特攻隊員らの心情に響き、伝わっていったのだろう。
第1術科学校によると、帖佐大尉がこの木を「同期の桜」として歌ったわけではなさそうだ。しかし、すべての枝の花が一斉に咲き誇り、一斉に散ってゆく、ソメイヨシノの散りざまはいつの時代も変わらない。だからこそ「同期の桜」は今も歌われるのだろう。
さくら2015戦後をめぐる【3】 旧海軍兵学校「同期の桜」
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