「陸軍歩兵一等兵…」。整然と並んだ墓碑にはそんな階級や名前が刻まれている。その上に伸びる枝で、こぼれんばかりに咲く花がひととき風に揺れる。まるで無数の霊に手向けられているかのように。
都会の中とは思えない閑静な高台に広がる「旧真田山陸軍墓地」(大阪市天王寺区)。明治4年に設けられた最古の陸軍墓地というここには日清・日露戦争、第二次世界大戦などで戦死した兵士らの墓碑約5100基が並び、納骨堂には約8100柱の遺骨が納められている。
大空襲で町は焼け、墓地も荒れ果てたが、その後再整備され、現在の「真田山陸軍墓地維持会」が保護。かつて周辺は桜の名所だったともいい、古木に加え、有志らが寄付を募って桜を植えた。それらは兵士らの魂を鎮める花となった。
花の下、大勢の人が集い弁当を広げる。「平和な光景はここに眠る方々の慰霊になるでしょう」と桜を守ってきた同会常務理事の吉岡武さん(77)。幼かった頃、空襲で家が焼け、火の海を逃げ回った。あれから70年…。悲しい記憶が蘇るたび平和を切に願う。
ヒラリと1枚の花びらが古い墓碑に散りかかる。花見客もその瞬間、兵士らの儚い命を思うだろう。
さくら2015戦後をめぐる【5】旧真田山陸軍墓地 大阪
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