桜前線の北上に合わせるように菜の花が咲き誇る房総半島。黄色で埋めつくされた花畑を朱色とクリーム色の列車がガタンゴトンと走り抜ける。わずか1両のディーゼルカーがローカル線を春色に染めていった。
小湊鐵道は、千葉県市原市の「五井駅」から同県大多喜町の「上総中野駅」の39.1キロを結ぶ民間鉄道。「キハ200形気動車」と呼ばれるディーゼルカーを運行する。休日には上下合わせて43本の列車が走り、三脚を抱えた鉄道ファンでにぎわいをみせる。
のどかな田園風景が広がる4月上旬の沿線。菜の花の香りに誘われてミツバチやチョウチョが飛び交っている。
「菜の花は地域の方々によって植えられています」と話すのは、小湊鐵道鉄道部の池田利彦さん。種をまき始めたのは、10年ほど前からという。競うように咲き誇る桜と菜の花のトンネルに包まれた「飯給駅」。ときおり吹く風に花びらが舞う。日が落ちるとライトアップされた桜が闇に浮かぶ。列車の明かりが水面に映り、幻想的な風景が広がった。
菜の花の名所「羽雄神社」の近くに並ぶカメラマンの前を汽笛を響かせて列車が通り過ぎる。レンズに映る春ならではの絶景にシャッターを切り続けた。地域の人たちが愛し、守り続ける小湊鐵道を暖かな
日差しが包んでいた。
◇撮っておき!メモ
大正6(1917)年設立の私鉄。大半が無人駅の全18駅、39.1キロで営業。五井駅でJR内房線と接続し、上総中野駅では第三セクターのいすみ鉄道と接続している。
これからは沿線のアジサイや新緑、秋には紅葉と四季を通して楽しめ、都心からのアクセスも良いことから近年は映画やCMのロケ地にもなっている。
【撮っておき!日本】小湊鐵道 千葉 花列車 里山をゆくよ
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