あざやかな緑があふれ出すように視界に押し寄せる。苔むした庭が生む小宇宙、さわさわと音をたてる竹林の回廊…。美しく萌える木々が満ちる嵐山・嵯峨野。季節によって色を変える日本有数の名刹を歩いた。
阪急・嵐山駅の改札を出ると、新緑から色を深めていく木々の息吹を感じる。観光客を乗せた人力車の後を追って北に上る。竹林の小径に導かれて路地を進むと風に揺れた竹がぶつかり「カサカサ」と乾いた音が響いてくる。
たどり着いたのは、平家物語にも登場する祇王寺。四季を通して楽しめる寺院だが、この時期は緑が映える。「春に芽吹いた新芽も深い緑になってきました」と話すのは、寺を守る庵主の橋本ちえ子さん。木々と苔が緑一面のパノラマを作り、その絶景に息をのんだ。
路線バスで向かったのは、愛宕念仏寺。参拝者によって彫られた千二百羅漢が訪れた人を出迎える。ユーモラスな表情が緑の中に溶け込んでいた。
時もたち夕暮れを迎えた頃、夜に輝く蛍の光を求めて大覚寺近くを流れる有栖川に三脚を据えた。7時を過ぎると、ポツリ、ポツリと一匹、二匹…。少しずつ黄緑のシグナルが増え、闇が深まると短い命を惜しむように乱舞を繰り返した。季節限定の一枚を写し撮ることができた。
□撮っておき!メモ
「嵐山・嵯峨野」は、京都市街地の西に位置する。桂川に架かる有名な渡月橋や竹林の小径周辺には京福電気鉄道、嵯峨野観光鉄道、JR西日本、阪急電鉄が乗り入れ、四季を通して多くの観光客でにぎわいを見せる。
【撮っておき!日本】嵐山・嵯峨野 京都 見渡す一面 緑の陰影
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