ライトで照らされた石段を下りる。地下深くに進むにつれて、気温が低くなるのが分かる。温度計に目をやると10度を指していた。狭い階段を抜けると突然、神殿のような空間が広がった。むき出しの岩肌が荒々しくそびえ立つ荘厳な光景に圧倒される。
「大谷資料館」-。日本有数の凝灰岩の産地、栃木県宇都宮市大谷町の大谷石地下採石場の跡地だ。
大谷は「石の町」として発展した。「大谷石」と呼ばれる石材は、建築家ライトが旧帝国ホテルに使用したことで有名になった。最盛期には119の業者があったが、コンクリートの普及で数を減らし、現在残るのは9カ所になった。
「大谷資料館」は、手掘りから機械掘りへと時代とともに変化する採掘の姿を伝えようと作られた。野球場がすっぽり入る約2万平方メートルの広大なスペースに、新旧の採掘機械などを展示する。
戦時中は秘密工場として、戦後は米の貯蔵庫として利用されたという地下空間。現在はアーティストやミュージシャンの人気を集め、映画やCMの撮影、演奏会などが行われている。
採石場近くの洞窟寺院「大谷寺」を訪ねた。本堂を凝灰岩が覆い、堂内には、千手観音像など岩を削って作られた仏像が並ぶ。
大小無数の穴が開く凝灰岩が描く自然美と、岩を削った跡が作り出す人工美。「石の町」は2つの美しさとともに歴史を刻み続ける。
撮っておき!日本「大谷石」(宇都宮市)
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