一発の原子爆弾が広島に暮らす14万もの人々の尊い命を奪い、多くの人に傷を負わせ、街を破壊し、焼き尽くした。あの日から70年…。街は復興し当時の面影を残すのは原爆ドームなど一部の施設になった。しかし、人々の心に8月6日の〝想い〟が今も受け継がれている。
市の許可を得て、原爆ドームの内部に入った。見上げると、崩壊を防ぐための鉄骨が張り巡らされている。かろうじて残ったレンガ壁の周囲には、瓦礫が散乱する。ここに立っているだけで、かつてこの地を襲った悲劇の事実が時を超えて伝わってくる。
原爆の記憶は薄れてゆくが、それを継承しようとする人たちも多い。
被爆した路面電車を当時の塗装で復活運行させたのもその一つだ。戦時中と同じ青色と灰色の姿でよみがえった広島電鉄の「653号」は爆心地の約2・7㌔で被爆した。
整備作業中に、現在の塗装の下に、当時の塗装が残っていたという。担当者は「特に正面部分が鮮やかで、見た瞬間鳥肌が立った」と話す。
8月6日の広島は、あの日と同じように蒸し暑い日になった。
「この日があって今があることを孫たちに伝えたい」。原爆で姉を亡くした江口和子さん(72)は、訪れた息子と孫の横でそう話した。
日没後、原爆ドーム横を流れる元安川では犠牲者を悼む灯籠流しが行われた。平和への願いがこもった灯籠が川面を流れていく。その〝想い〟は、次代を担う若い人たちに繋がっていく。
あの日から70年 広島原爆の日
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