長崎港(長崎市)から西へ約100キロ、高速フェリーで1時間半、五島列島・福江島(長崎県五島市)の福江港に着いた。大小およそ150の島からなる五島列島は総面積660平方キロ、人口約6万人。古くは遣唐使の最終寄港地として栄えた島々には、約50のカトリック教会が点在する。
資源豊かな国境の島には気になる隣国との関係がある。数年前、福江島沖の無人島・姫島の土地に中国資本が興味を示した。話は立ち消えになったが、五島市防衛協会の山口要蔵理事(62)は「中国人から漁港で取引されない魚や、木材を山林ごと、全て買いたいとの話もあった」と打ち明ける。
中国資本参入を懸念する島民は少なくない。山口理事は「島の人口減少や高齢化は深刻。国境離島としての対策が必要」と訴える。五島列島の港湾は台風などの際、船舶の避難場所になるが近年、中国の大型船が増えている。3年前には1回で中国船など106隻が入港したこともあった
また、五島列島はキリスト教との関わりも深い。禁教令の弾圧から逃れるためキリシタンが移住を始めたのは1797年。1873年に禁教令が解かれるとカトリック協会が建ち始めた。現在も島民の1割超がキリスト教徒だ。
五島列島にある4つの教会(江上天主堂、旧五輪教会、頭ケ島天主堂、野首教会)を含む「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」は、既に来年夏のユネスコ世界文化遺産への登録に向けた申請を終えた。
頭ケ島天主堂(長崎県新上五島町)の松井義喜代表(77)は「集落には高齢者が10人ほどいるだけで教会や墓の維持は難しい。でも、世界遺産候補を少しでもいい状態で見てもらいたい」と作業する手に力を込めた。
探訪 防人の風景 世界遺産で「ストップ過疎」長崎・五島列島
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