集落に一歩足を踏み入れると、青々とした葉が生い茂る木々が小路に並んでいた。南国の強い日差しも木漏れ日になって、ひんやり涼しい。葉の影が白砂に複雑な模様を描く緑のトンネルは、どこまでも続いていた。
沖縄県本部町の備瀬地区にあるフクギ並木。フクギは楕円(だえん)形の葉をつける常緑高木で、防風や防火に適している。250年以上前の琉球王国時代から台風や北風、暑さから屋敷を守るため植えられて住民の生活を守ってきた。
並木は210世帯、500人が住む集落のほとんどを囲む。南北約1キロにわたって高さ15メートルほどのフクギ約2万本が林立している。もともとは台風が多い沖縄県の多くの場所で見られる伝統的な景色だった。が、戦火による焼失や住環境の近代化で、備瀬地区のような規模の並木は珍しい存在になった。
沖縄本島の中でも注目度が高い沖縄美ら海水族館が近いこともあり、古き良き沖縄に触れようと訪れる、観光客も多い。備瀬区長の高良善久さん(68)は「フクギ並木は生まれたときからそばにある、先祖代々伝わってきた財産。台風が多い本部半島北端にある備瀬では、砂地でも育つフクギが必要不可欠。これからも一緒に暮らしていきたい」と話す。
早朝、一帯を歩いていると、フクギの下で掃除に励む多くの住民に出会った。白砂に規則的に残るほうきの模様は庭園のようで、美しい風景にアクセントを加える。集落を散策していると、迷路のように複雑な緑のトンネルを抜けた。その先には、まばゆいばかりに輝くエメラルドグリーンの海が広がっていた。
探訪 照りつける太陽 木漏れ日に 沖縄・備瀬のフクギ並木
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