佐渡島(新潟県佐渡市)で野生復帰を目指すトキが、平成20年に初めて放鳥されて8度目の繁殖期を迎え、例年にない注目を集めている。一昨年、自然界で巣立った31羽のうち約20羽が繁殖に加わり、両親とも自然界生まれのトキによる2世誕生が期待されているからだ。
昨年初めて雄雌とも自然界生まれのペア2組が誕生したが、いずれも途中で抱卵を放棄した。新潟大学の永田尚志教授(保全生態学)は「繁殖1年目による経験不足」とみるが、これまで繁殖に失敗した原因の約半数は未解明だ。「理由が分からなければ対策もとれない」(永田教授)ため、巣の観察強化は喫緊の課題になっている。
だが、最も難しいのは巣の発見だ。モニタリングチームは、過去に営巣した場所を中心に探索する。今期は昨年より約20組多い60組近いペアの誕生が予想されている。多くの場合、新しいペアは新たな場所に営巣するため発見は難しい。目撃情報と繁殖期特有の鳴き声だけが頼りだ。
日本野鳥の会佐渡支部副支部長の土屋正起さんは「トキは鳴き声が大きいため、巣の位置は鳴き声で分かる」と話す。営巣場所をめぐる争いでも大きな鳴き声が響く。弱い雄は、強い雄に雌と巣の両方を奪われることがあるという。
こんな中、最近になって関係者が気にしているのは、生息数増加に伴う市民の関心低下。電話やメールで寄せられる目撃情報は年々、減少しているといい、永田教授は「昨年は全ての巣を見つけたが今年もそうとは限らない。普段はいない場所でトキを見たら一報を」と切望する。市民の目撃情報がトキの生態解明のカギを握っている。
探訪 佐渡 冬のトキ 自然児ペアの2世に期待
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