6月、田植えが続く棚田で、小さな苗が鏡のような水面から顔を出す。
〝水鏡〟となった田んぼには、青空や夕焼け、星空が映り込み、色とりどりの表情をつくる。棚田の奥に広がる日本海には、イカ釣り漁船の漁り火が幻想的な光景を見せた。
山口県長門市の「東後畑棚田」。丘陵地から海に向かって約210枚の田んぼが並ぶ。平成?年には「日本の棚田百選」に選ばれた。
田植えが行われる4月下旬から6月は、水を張った田んぼと、海岸線に近い漁り火が1枚に収まるベストシーズン。この時期は、日本全国からカメラマンが集まってくる。
日没の4時間ほど前、カメラマンが三脚を立て始めた。吹き抜ける風に稲がざわめき、水面にさざ波がおこる。
西に傾いた夕日がキラキラと反射し幾何学模様の田んぼが浮かび上がる。漁場へ向かう船が、夕日をうけてシルエットになる。
日が沈むとイカ釣り漁船が明かりを灯して、漁が始まる。40隻あまりの漁り火が海を埋めると、シャッターの音が響き出した。
空に星が輝く頃、撮影を終えたカメラマンが帰り支度を始める。
街灯のない夜道を駐車場へ向かうと、緑に輝く光のラインが横切った。目をこらすと蛍の光が先導してくれているのに気がついた。
帰り道、近くの棚田には天の川が映り込んでいた。
【撮っておき!日本】東後畑棚田と漁火・山口県長門市
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