阪神大震災を機にサンバを始めた神戸市出身のダンサー、工藤めぐみさん(30)が、来月5日に行われるリオデジャネイロ五輪の開会式に出演する。神戸とリオの行き来を始めて12年。リオの名門サンバチームに属し、花形の1人に成長した。4年後には東京五輪開催を控え「ブラジルと日本の架け橋になりたい」と願い、晴れの舞台で華麗なステップを刻むと誓う。
工藤さんは小学3年だった平成7年1月、阪神大震災を経験した。須磨区の自宅が半壊し長田区の曽祖母は手足を骨折。「被害の情報が入る度に落ち込んでいた」。母親の妙子さんは当時を振り返る。
サンバとの出会いは震災4、5月目のころ。《サンバを一緒に楽しみませんか》。妙子さんの目に新聞広告がとまり「娘が元気になれば」と勧めた。
決して自発的に始めたものではなかったが、化粧をし、衣装を着て、人前で踊る…。「自分を解放でき、みんなの視線も集めることができる」とサンバの魅力に触れ、すぐにとりこになったという。
さらなる成長を賭し、19歳で単身リオに。以来、日本でサンバのインストラクターを続けながら、毎年2月のリオのカーニバルに向け前年11月くらいには現地入りし、3カ月間現地で練習する日々を送る。今では名門サンバチーム「サルゲイロ」に属し、パレードのメーンダンサーの「パシスタ」にも選ばれるなど活躍しているが、当初はポルトガル語が話せずチームに溶け込めなかった。
チームメートから嫌がらせを受け、日本が恋しくなり、何度も電話をしたこともあった。ただ、「私にはダンスしかない」と言い聞かせ懸命に踊った。サンバとともに習ったクラシックバレエ仕込みの華麗な動きで周囲を納得させ、同じアパートの住民から言葉も学んで、少しずつ周囲の信頼を勝ち取っていった。
そうした中でリオ五輪開会式に出演のダンサー募集を知り、オーディションを経て合格を手にした。「ダンスはメッセージ。これから五輪が始まるんだということを世界中に届けてほしい」。父の高嗣さん(56)は期待する。
リオの次は、東京五輪が控える。「2つの都市を結ぶ存在として何かできないかと考えていた」と話す工藤さんは、5月に現地入りし練習を重ねている。「リズムとパワーを感じてほしい」。そう願っている。
「ブラジルとの架け橋に」 ダンサー工藤めぐみさん、華麗なステップ
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