港から船で数分。タンクを背負い海底に潜った。ガイドとともに、岩壁の隙間にある暗い洞窟を水中ライトを照らしながら進んでいくと、ほんのりと明るい空間に出た。しばらくその場で漂っていると、レーザービームのような強力な光が差し込んだ。
伊豆半島の中でかつて「伊豆の秘境」とされていた静岡県松崎町雲見。駿河湾に面した海岸線では、火山活動や海の波によって長い年月をかけて作られた奇岩、海食洞などダイナミックな景観が広がる。
海中は大小さまざまな洞窟が迷路のように連なり、たくさんの魚やエビ、ウミウシなどを観察できるダイビングエリアだ。伊豆漁協松崎支所・雲見シーサイドハウスによると、年間1万人程のダイバーが訪れているという。
数ある雲見の海中洞窟の中で、夏に人気を集めているのは「三競(さんきょう)」と呼ばれるポイントだ。北から南に向かって5つの洞窟から構成され、3番目は水深約12メートルの縦長な洞窟。広さは8畳くらいか。水面から高さ2~3メートルの空間が広がり、浮上すると息をすることができた。
この洞窟の天井部分には岩が折り重なり、隙間からは空がうかがえる。夏、太陽が高くなる時間帯にこの隙間から日光が一直線に水中に差し込んでくる。まるでSF映画に出てくる宇宙のワンシーンのような神秘的な光景が現われた。
雲見で16年間ガイドをしているアイダイブの金子裕昭さんは「8月のお盆過ぎからの約1カ月間は昼過ぎに行くと差し込んでいる。他の時期、時間帯でもタイミングさえ合えば見られますよ」と話す。
複雑な地形と気象条件が重なってできた一筋の光。雲見の海は、多くのダイバーを魅了している。
view 暗闇を貫く一筋の光 西伊豆・雲見の海中洞窟
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