木枯らしが吹く農村を車で走る。校庭のフェンスを目印に丘を登ると、そこには”ながなが”と続く建物が・・・。「国際なかなか遺産委員会」が認定する「なかなか遺産」第1号の「旧達古袋小学校」(岩手県一関市)だ。
同委員会は平成24年、東京大生産技術研究所教授の村松伸さん、腰原幹雄さんによって設立された。「なかなか〜!」と、見ると楽しく、感心もさせてくれる建物を探して、認定している。
この校舎ができたのは昭和26年。通学に2時間かかる中学生のために、住民が役場と交渉。土地や資金を提供することで、建設にこぎつけた。当初は小・中学校を併設し、1学年1クラスで全盛期は1クラス50人を超えたという。教室が横一列に並ぶ木造平屋建ての校舎は長さ119メートルもある。
平成22年に実施された耐震診断のため、地元の建築士、阿部眞昭さんから依頼を受けた腰原さんが来校。”ながなが”とした校舎の造形に興味を引かれたという。
少子化の影響で25年の廃校が決まると、半分を解体して公民館にすることになった。計画を知った阿部さんは、腰原さんらと協力して建物全体の保存運動に乗り出し「一関のなかなか遺産を考える会」を設立した。
「歴史や思い出を伝える役割が建物にある」と話すのは、阿部さんの妻で、同会事務局長のえみ子さん。
同会は、役所や地域の住民らに活用案を示し全体の保存を実現させた。この結果を受けて、26年に「ながなが系」の「なかなか遺産」に認定された。
現在は、西側半分に耐震補強を施し「一関市厳美市民センター達古袋分館」として、講演や講座、雑巾がけ競争などのイベントに活用されている。「飾り物じゃなく、みんなで使い、壊れたらみんなで直す。それが『なかなか遺産』だと思うんです」
えみ子さんの号令で、雑巾を手にした子供がいっせいに駆け出した。
なかなか遺産 旧達古袋小学校
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