京都から被災地に思いを伝えようと、東日本大震災の月命日となる毎月11日限定で営業している食堂がある。京都市上京区の「きっかけ食堂」。東北から仕入れた海産物や野菜、酒などを提供し、遠く離れた被災地への思いを共有する。
きっかけ食堂は被災地支援サークルに参加した立命館大学4年の原田奈実さん(22)が、同級生の右近華子さん(22)、橋本峻さん(22)に呼びかけて平成26年5月に営業を始めた。
毎時11分には、話しあいたいをテーマを書いたメモを元に客同士で語り合う「きっかけタイム」や、語り部を招き体験談を話してもらうなどの取り組みが口コミで評判を呼び、関西在住の東北出身者など、さまざまな世代でにぎわいをみせていた。
しかし、店を切り盛りする3人が就職で京都を離れるため、存続が危ぶまれたが、常連の大学生が後継に名乗りを上げて、営業が続くことになった。
新メンバーは、京都大1年、阪上友斗さん(19)らにサポートメンバーを加えた5人。
新旧メンバーらは、2月下旬に、被災地を巡り生産者と会う「引き継ぎ」の旅を行い、気仙沼で魚のさばき方などを生産者から教わった。
卒業する橋本さんは「これまでどんな人たちと関わり、お世話になり、共にがんばってきたかを伝える旅です」と話す。
この旅で被災地を初めて訪れた阪上さんは「6年近くたっても残る傷跡の生々しさを目の当たりにして衝撃を受けました。東北の人たちとつながるこの旅が僕たちのスタートです」と意気込みを語った。
3月11日は特別に午前11時から開店し、約100人の客が訪れた。午後2時46分には居合わせた人たちで黙祷(もくとう)がささげられた。
夜には仕入れ先の東北の生産者や常連らから卒業メンバーに向けたビデオメッセージが放映された後、感謝状を贈呈した新メンバーが「私たちがしっかり引き継ぎます」と決意表明すると店内は大きな拍手で包まれた。
東日本大震災から6年、忘れられがちな被災地への思いを若い世代が引き継いでゆく。
きっかけ食堂 京都市上京区
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