木立を歩いて抜けると、目の前に現れた異形の岩壁の大迫力に思わず息をのんだ。壁一面覆う直径数十センチの岩の柱が夕日に染まり、それぞれの岩の影が筋のように黒くくっきりと浮かび上がった。
岐阜県下呂市の「巌立(がんだて)」。およそ5万4千年前に起きた御嶽山(標高3067m)の噴火の溶岩流が17キロ流れ出た末端部分といわれる。溶岩が冷え固まって柱状節理となり、その後少しずつ谷に沿って流出していき、断面が露出してできた「自然のオブジェ」だ。
高さ72m、幅150mにも及ぶ石壁で、平成19年、御嶽山が日本の地質百選に選ばれた際、巌立もその一部として認定された。
「巌立は、春は新緑、秋は紅葉、冬はむき出しの厳しい姿と、季節ごとにその姿を楽しめます」と話すのは地元ガイド(NPO法人飛騨小坂200滝)の米野孝斎さん(28)。
米野さんは下呂市で育った。大学進学を機に上京、3年間企業に勤めた後、Uターンしてガイドになった。
「高校時代までは早く〝何もない〟地元を離れたいと思っていましたが、一度離れてみると、自然がいっぱいだった故郷の魅力に気がつきました。巌立はその象徴」と笑顔で話す。
周辺には大小200の滝があり、巌立はそれらを巡るハイキングコースのスタート地点でもある。「4月半ばには、雪もなくなり、巌立から入れる初心者コースも全面解禁になります。黄金週間には多くの観光客でにぎわい、雰囲気がガラっと変わりますよ」と米野さん。
巌立の春はもうすぐそこだ。 (写真報道局 古厩正樹)
噴火が作った自然のオブジェ 岐阜県下呂市の「巌立」
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