岡山県中西部、高梁(たかはし)市の山間。ひなびた農村が点在する細いくねくねとした山道を車で上がっていく。すると、忽然と豪華な屋敷が立ち並ぶ街道が姿を見せた。
標高約550mにある吹屋地区の「備中吹屋」。江戸時代から明治時代にかけて築かれた町並みがそのままの姿で残る。家は赤褐色に輝く石州瓦の屋根でそろえられ、鮮やかなベンガラで塗られた格子を構える。
吹屋は江戸時代から昭和初期、銅山の町として発展。さらに、採鉱の産物からできる赤色顔料ベンガラの製造と販売で大きく繁栄した。街は問屋や旅籠(はたご)が軒を連ね、行商や荷馬が行列をつくっていたという。鉱山労働者が集まり、「吹屋よいとこ金ほるところ 掘れば掘れるほど金がでる」とうたわれるほどだった。
なぜ、しゃれた町並みになったのか。
地元観光協会によると、「ベンガラで財を築いた旦那衆が個々が競争するのではなく、統一した町並みにしようと話し合い、瓦で知られる石州(島根)から職人を呼び寄せてつくりあげたと伝わっています」。
その美しさと保存状態の良さなどから、昭和52年には国の重要伝統的建造物群保存地区に認定され、現在79棟に32世帯(62人)が生活している。
先祖代々吹屋に住む、城井田智さん(84)は祖父から、「昔はとてもにぎやかで、人も多く商売人が行き交っていた。祖父自身もかなり景気が良かったらしい」と話す。
城井田さんの昔話に耳を傾けていると、格子の向こうからにぎやかに行き交う人々の声が聞こえてくるようだった。 (写真報道局 松本健吾)
繁栄しのぶ赤褐色 岡山県高梁市「備中吹屋」
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