足元のぬれた岩場に気をつけながら、大きくえぐられた岩の中に入ると、流れ落ちる滝が大きなカーテンのように目の前に広がる。サーという静かな音に包まれ、水しぶきが顔を冷やし気持ち良い。
大分県との県境に近い熊本県小国町の「鍋ケ滝(なべがたき)」は幅約20m、高さ約10mで滝裏の奥行きが約13mある。裏側に入れることから「裏見の滝」とも呼ばれる。約9万年前の阿蘇山大噴火の火砕流で地層の上部には固い層ができた。下部の地層はもともと柔らかく、長い年月をかた浸食でできた自然の造形美だ。
最大震度7を記録した熊本地震本震から今日で1年。鍋ケ滝も5強の揺れで岩が崩れ落ちた。余震が続き、昨年7月末までの3カ月間は滝裏への入場を禁止、観光客数も前年比で7割に落ち込んだ。売店でも1年間で売り上げは4割減ったが、年明けからは持ち直しつつあるという。
同町の杖立(つえたて)温泉では温泉こそ絶えなかったが、断水の影響などで年間利用客が半減した。昭和4年創業の老舗旅館「わかのや」では客室の壁がひび割れるなどで、現在でも7部屋中、4部屋のみの営業を強いられている。
女将の田辺朋子さん(64)は「旅館よりも優先的に復興工事するべき箇所がまだまだある」と、仮設生活を余儀なくしている人たちを気遣った。さらに「地震から完全に復活したなんて言えないけど、それでも熊本、阿蘇は元気に頑張っていきますよ」と笑顔でもてなしてくれた。
新緑の頃、鍋ケ滝は緑を反射し一番美しい姿をみせる。 (写真報道局 桐山弘太)
view 熊本癒やす水のカーテン 小国町の「鍋ケ滝」
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