そそり立つ断崖に日本海の荒波が打ち寄せる。太古の昔、火山活動でできた安山岩の奇観が夕日に照らされ、一層その迫力を増す。福井県坂井市にある国の名勝・天然記念物、東尋坊は高さ25メートルの断崖や浸食でできた奇岩が1キロほど続く。
北陸有数の観光地で年間約120万人が訪れる。北陸新幹線が開通した平成27年には147万人に伸ばし、さらに昨年7月にスマートフォン向けゲームアプリ「ポケモンGO」が配信されると、「珍しいモンスターが獲得できる」と話題になり、その数を維持している。
ポケモンブームで「自殺の名所」というもう一つの顔も変ってきた。過去40年間は年平均20人の飛び降り自殺者がいたが、アプリが配信された昨年は14人、今年は4カ月で1人にとどまっている。昨年の夏休み期間には1日300人ほどがゲームで訪れ、隅々まで人の目が届くことで抑止効果があったとみられる。
崖の上で一人撮影中、「あなたは笑顔だから大丈夫だね」と声をかけられた。東尋坊での自殺をなくそうと周辺パトロールや生活支援を行うNPO法人「心に響く文集・編集局」の女性だった。茂幸雄代表(73)は「ゲームなどで観光客が増えたことは、自殺をとどめるのに良い影響があるが、決して志願者数が減っているわけではない」と事情を説明する。
取材中も埼玉県の自殺志願者から電話が鳴った。茂さんは「自殺の名所として売り出しているのも問題。今後はドローンを使用した保護活動も検討し、汚名を返上したい」と話してくれた。 (写真報道局 桐山弘太)
view 打ち寄せる荒波 変わる名所 福井県・東尋坊
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