深夜0時。都会から離れた深い山の中、足下は真っ暗だが頭上は満天の星空。不規則で個性的な形をした水鏡に星明かりが映り込み、天地とも星に囲まれたような錯覚を起こす。
新潟県十日町市松代地区にある「星峠の棚田」は雲海を見ることもできる近年人気の撮影スポットだ。松代には棚田が多いが、星峠は中でも最大で、斜面約148ヘクタールにおよそ200枚の水田がある。
日の出の風景を撮影しようと、夜明け前からカメラマンが押し寄せる。今年のゴールデンウイークには約100人が集まった日も。金沢市から撮影ツアーで訪れた香田美代子さん(73)は「雲海が見られなかったのは残念ですが、朝日に輝く棚田はとても美しかった」とカメラをのぞいていた。
市の観光担当者は「この地域で棚田は見慣れた景色なので、まさかこんな観光地になるとは思わなかった」と驚きを隠さない。
その一方、人気が上がるにしたがって、問題も浮上している。星峠の写真が載った観光ポスターが持ち去られ、田んぼに入って撮影する人もいて、農家が頭を悩ませている。さらに年々、高齢化などで耕作放棄地が増えており、この景色を維持するのも難しくなってきた。
田植えをしていた横尾孝義さん(84)は「大変ですねとよく言われるが、棚田には棚田の良さがある。ここは栄養が多い土地なのでおいしい米ができる」と話してくれた。そして「毎年稲作をすると、都会に出た子供や孫たちが手伝いに来てくれる。良いこともたくさんあるよ」と笑顔で汗を拭った。 (写真報道局 宮崎瑞穂)
view 満天の星空映す水鏡 新潟県十日町市 星峠の棚田
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