降り続く雨。深い霧。稜線に吹き上げる強風。標高3000mを超える北アルプスは、夏場とは思えない寒さが続いた。
「ジャンダルム」という欧風の響きに、幼少時からあこがれ、念願の山岳取材に向かった。ジャンダルム(3163m)は仏語で「憲兵」の意味。奥穂高岳の南西約400mにあり、主峰を護衛するかのようにそびえ立つ。
崩れやすい岩場が続く縦走路にある難所で、ドームにような形が特徴的な北アのシンボル的な存在。攻略には高い技術と体力が必要とされる。
山岳事故が多く、平成21年9月には遭難者の救助に向かった岐阜県防災ヘリが濃霧の影響で墜落、乗員3人が死亡した二次災害も起きた。
山小屋で3日間待って訪れた好天だった。眼前に現れた巨大な岩稜の荒々しさに息をのんだ。
縦走路の左右は断崖絶壁で、肩幅程度しかない足場に膝が震えた。その上、飛騨側から吹きつける強風で体があおられ、恐怖を感じたため、登頂は断念した。
穂高岳山荘で20年以上働く中林裕二支配人(45)は「ジャン(ダルム)は見る場所によって形が変わるのが魅力。山荘を1時間ほど下り眺めるギザギザした姿もかっこいいですよ」と教えてくれた。
下山途中に振り返り見上げると徐々に姿を変えていった。次は自分の足で登頂したい。ジャンダルムへのあこがれが一層強くなった。(写真報道局 桐山弘太)
view 主峰守る難所のドーム 北アルプス・ジャンダルム
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