豪華観光列車の旅が人気を集める中、関西発着の豪華バスツアーが相次いで登場している。電車と違って乗り換えがなく、ゆっくりと旅を楽しめるバスツアーならではよさを売りに、こだわりの日本旅館やホテルでの宿泊や食事などを組み合わせ、旅慣れた富裕層の中高年や増加が続く訪日外国人客らの取り込みを目指す。
■移動の車内快適に
兵庫県姫路市に本社を置く神姫バスが今年4月から販売を始めるバスツアー商品「旅学人」で使う専用バス「ゆいプリマ」。デザインを担当したのは、JR九州の「ななつ星in九州」などの豪華観光列車のデザインを手がけたことで知られる水戸岡鋭治さんだ。
「道さえあれば、日本中の美しい場所に行ける。バスにはまだまだ可能性がある」と水戸岡さんは言う。
ゆいプリマは全18席。内装には天然木を使い、日本製の本革シート、座席前に革製の小物入れを備えるなど、移動中の車内で快適に過ごせる工夫を凝らした。
バスは電車よりも内部の空間が狭く、走行中の立ち歩きが安全上制限されるなどデザイン上の制約も多いが、水戸岡さんは「木の床や革の座席は手入れに手間がかかるが、旅の通に納得してもらえる空間をつくった」と自信をのぞかせる。
■企画者が案内も
旅学人のツアー商品は歴史や伝統、食文化など、旅を通じて学ぶ楽しみにこだわる。「日本百名宿」などを著書に持つ作家の柏井壽さんが企画監修している。
柏井さんが同行し、中国地方の「平家物語」ゆかりの地をたどる2泊3日のツアーは、山口・長門湯元温泉の「別邸音信(おとずれ)」、広島・宮島の「岩惣(いわそう)」に泊まる。料金は2人1室で一人当たり26万円から。神姫バスの社員が企画し、案内役を務める日帰りツアーもある。
旅学人の坪田一夫常務取締役は「バスツアーでは移動時間や同行者との出会いも楽しんほしい」と話す。
■リピーター多数
一方、クラブツーリズム(東京)は、東京で好評だった高級バス「ロイヤルクルーザー四季の華 碧(あおい)号」を今年4月から関西でも2台導入し、大阪発着のツアーを始める。東京では「遠方の旅行でも乗り換えや荷物の重さを心配せず、ゆったりと楽しめる」と、60~70代のシニア層のリピーター人気を獲得しており、満を持しての関西進出だ。
碧号は革張りの座席18席で、広い車窓からの眺望を楽しめるように、天井の荷物棚をなくして座席前にデスク型の荷物置きを配置した。大きな荷物はトランクにも収納できる。上高地帝国ホテル(長野県松本市)に泊まる2泊3日のツアーなど、有名ホテルや旅館の宿泊ツアーをそろえる。
ロイヤルクルーザーの初代「風号」は平成19年に運行開始。28年に建築家の隈研吾さんが内装デザインを監修した「新型海号」、シリーズ10周年となった29年には最上級バスの「碧号」と相次いで投入し、豪華バスツアーを拡充してきた。
クラブツーリズムが27年に50~60代の男女約800人を対象にパッケージツアーで重視する点を聞いたところ、最上位にあがったのは「体に負担の少ないゆとりある行程」で、「厳選された旅館、ホテル」と「名店での食事」が続いた。年齢層が上がって旅慣れるほど、パッケージツアーに上質さを求める傾向にある。
訪日外国人客も古き良き日本の姿を求めて地方にまで足を運ぶようになっており、移動の車中から旅先まで非日常のぜいたくを味わいつつ、日本を再発見できる豪華バスツアーの人気は今後さらに高まりそうだ。
神姫バス豪華ツアー「旅学人」専用バス YUI PRIMA デビュー
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