小型船に乗り込み海を行くと、白い砂の浅瀬で船は止まった。潮が引き始めると、みるみる浅瀬が砂浜へと変わっていき、波紋が無数の曲線を白砂に刻んでいく。
鹿児島県の最南端、奄美群島にある与論島。「百合ケ浜」は与論島の東、約1.5キロの沖合に、大潮か中潮の干潮時の数時間だけ現れる。昼間に見られるのは4月から10月までだ。
全景を空から見ようと、できたばかりの浜から、ドローン(小型無人機)を離陸させた。白砂の浜が海上に浮かんでいる。島を囲むサンゴ礁が、群青色の外海と島を隔て、エメラルドグリーンの帯が島の海岸線を美しく縁取っていた。
長さ100メートルほどになった浜に次々と観光船が乗り付け、あっという間に100人ほどの観光客が“上陸”した。
グラスボートの送迎を行っている本園秀幸さん(44)は「台風で砂がかき回され、場所が200~300メートル変わるのはよくあること。全く出現しない年もあった」と「幻の浜」「幻の絶景」とも呼ばれる理由を説明する。
数時間しかない絶景の楽しみ方はさまざまだ。福岡市から訪れた新婚の緒方悠太さん(26)は妻の和調(なつき)さんとウエディング写真を撮影した。「青い海に浮かぶ白い浜。そこに立った妻の姿は一生忘れない」と笑顔を見せた。
潮が満ちるに連れて、小さくなっていく浜。観光客は慌ただしく船に乗り込み浜を後にする。「幻の浜」は、やがてエメラルドグリーンの海の中に姿を消した。(写真報道局 古厩正樹)
view 南の島に現れる幻の絶景 鹿児島県・与論島「百合ケ浜」
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