足りない。足りない。ソレも想い込みだったんだ。参加してきた数百の作品にたった1本でも、想定通りに進んだ企画があったか? いや、無い。もう、人生の総ては揃ってるンだ。ぜんぶ自分にちょうどイイ。可能も不可能もぜんぶ、自分が決めつけたルールでしかない。ちょっとイイかな。どこかで聞いたな、その言葉。まるで受け売りだ。オマエはそうやって、誰かの断言に依存しようといてるンだ、滑稽な生き方だな。黙ってくれるかな、“ココ”にネガティヴを持ち込むのはルール違反それは、改定できない規約だよ。あぁご立派だがね、観客が観たいのはオマエの苦悩なんかぢゃない、価値ある時間と映像情報だよな。待て、まってくれ。今はまだ、観客の為には書けていないんだ。へぇ、一つ質問してもイイかな。オマエは無人島でも、映画を創るのか?……創らない。映画は、観客の為に創りたいでも、観客が求めるモノを創ることだけが、映画だとは想わないんだ。嗚呼。
2018年12月07日、日米それぞれの新興スタジオの協力を得て、NOMAのプロデューサーたちによるプリプロダクション(撮影前準備)が始動した。6年間の取材旅がいま、映画になろうとしている。映画製作の工程中で最も美しくて輝きに満ちたこの期間はまた、その直後に待ち受ける“現実対比”という地獄の前哨戦でもある。映画の労は、“撮影現場”だと想われている。しかしながらソレは全行程の1/6プロセスであり、企画者とプロデューサーにとってみればプリプロダクションの苦行を経た、ご褒美に他ならない。クランクイン当日を祈りつつ続く会議はSkypeを介し、各国時差を超える。企画の方針決定をプロデューサーたちに託して監督の太一は、新たなインフラ構築を試みる。日本映画界でポピュラーな資金調達手段に、複数の企業から出資を引き受ける“製作委員会方式”がある。全国公開の大作には安全なポートフォリオだが、権利と配当にフレキシビリティが必要なインディペンデント作品さらに、国際映画には大きな足かせとなる。デファクトスタンダードを採用すべく2018年12月25日、グループ2社の中にファンドを発足し、不足分の製作費を補填した。新年に向かってさっさと撤去されていくイルミネーションを眺めながら、フィレンツェのヴェッキオ橋で出逢った登山家のことを想い出した。我々登山家は毎回、雪山よりも難易度の高い山を越えるよ。“登山資金集め”だ。笑えなかった。夕飯用にとっておいたリンゴをあげると、ボトルの水をくれた。二人で、アルノ川に沈む夕陽を眺めた。“ヴェッキオ”はイタリア語で、古い、を意味する。もう事業家のフリは無理だ、と理解した。(文・360°VR動画 太一氏)(撮影機材:リコー THETA V )
太一(たいち) 映画監督/脚本家
昭和46年生まれ、東京都出身。
1984年、 SFXアーティストとして映画業界デビュー。VFXスタジオA.T-ILLUSION株式会社、映画プロダクションEDLEAD inc.(Los Angeles, HOLLYWOOD)のCEOを努め、60本の劇場映画、500作品の地上波メジャーCMに参画。映画プロデューサーの恵水 流生と共に2016年4月、実写VR.映画等の国際映像スタジオ「NOMA」を創設。映画、CM、MV.、PVに監督作多数。近作ではニコラス・ケイジ主演映画のプロデュースのほか、ファッション誌GQ のVR.、ホログラムを駆使した上戸彩主演 VOGUE、宇宙航空研究開発機構JAXAのインフルエンサーとしてブランディング監督作品など。2019年3月に日米での撮影にむけて、NOMA初の劇場用国際映画を準備中。
【太一 360°VR動画】MID-POINT【映画に棲む/PARADISE of the PARADIGM】
カテゴリ一覧
スポーツ
ニュース
音楽
ラーニング
趣味
グルメ
ガールズ
ゲーム
ギャンブル・宝くじ
エンタメ
アニメ・漫画
どうぶつ