桜の名所として知られる東京都北区の飛鳥山公園。この丘の一角に約500もの会社の創立と経営に関わり「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一の書庫「青淵文庫」が残る。
れんがと鉄筋コンクリートの2階建て。1階の閲覧室には精緻で色彩豊かなタイルやステンドグラスが配され、2階の書庫につながる階段は流れるような曲線を描いている。
大正14年、傘寿と子爵昇格のお祝いにと、渋沢を慕う弟子たちが贈った一棟だ。
管理する渋沢栄一記念財団の学芸員、川上恵さんは「大正時代にありながら独創的なデザインで、栄一への親愛と尊敬の念が隅々まで込められている。栄一が晩年を過ごした空間を肌で感じることができる貴重な建物」と説明する。
渋沢は、歳で生涯を閉じるまでの約年間を都心から少し離れた閑静なこの地で過ごした。書や散歩を楽しみ、国内外の賓客をもてなしていたという。飛鳥山には青淵文庫のほかに、洋風茶屋「晩香廬(ばんこうろ)」が戦火を逃れ、往時の名残を留めている。
論語に通じ「道徳と経済の一致」を信条に、利のみならず公益を追求した渋沢が新1万円札の肖像になる。ゆかりの地を歩くと、「あなたは手にしたお金をどう使うのか」と問う声が聞こえてくるようだった。
(写真報道局 松本健吾)
渋沢栄一を肌で感じて 東京都北区 青淵文庫
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