山梨県北東部に連なる大菩薩連嶺の主峰、大菩薩嶺(標高2057メートル)。日本百名山に数えられ、中里介山の長編小説「大菩薩峠」でも知られる。
天皇、皇后両陛下は平成14年、大菩薩嶺に登られた。このとき立ち寄られた山小屋「福ちゃん荘」の雨宮克美さん(53)は「お二人とも朗らかな雰囲気で、皇后さまが登山客に『今日は愛子さまは?』と聞かれ、『お留守番です』と気さくにお答えになっていたのが印象的でした」と振り返る。季節は初秋。山腹はリンドウやマツムシソウが咲き誇り、紫に染まっていた。
両陛下は、頂上を経て尾根にある大菩薩峠に着かれた。峠の山小屋「介山荘」の益田繁さん(82)は「2時間以上歩かれたはずでしたが、天皇陛下はニコニコされていました。『素晴らしい景色ですね』とお声がけいただき、山が本当にお好きな様子でうれしかったです」と懐かしむ。
寒露の頃、大菩薩嶺を目指した。未明のうちに麓をたち、ヘッドライトを頼りに林の中の登山道を踏みしめていく。約1時間半かけて尾根に上がると、視界いっぱいに広がる満天の星が待ち受けていた。
やがて闇夜が白み始め、朝のみずみずしい光を受けた富士山が幾重もの稜線をまとって、その姿を現した。(写真報道局 松本健吾)
稜線まとう暁の富士 大菩薩嶺
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