つづら折りの山道にシカの鳴き声が響く。何度目かの大きなカーブを曲がると、葉を落とした木々の間から巨大な白い影が目に飛び込んできた。映画「未知との遭遇」の宇宙船のようだ。ハンドルを握る手に思わず力が入った。
長野県佐久市の蓼科スカイライン沿いに「臼田宇宙空間観測所」の後継局として、「美笹深宇宙探査用地上局」の建設が進む。大型アンテナの据え付け工事は完了し、令和3年4月の本格運用に向けた試験が行われている。
深宇宙とは、地球からの距離が200万キロ以上の宇宙を指す。飛行する探査機とのデータ交信が地上局の主な役割だ。現在約2億5千万キロ離れた小惑星探査機「はやぶさ2」との通信時間は往復で約30分かかる。微弱な電波を観測するため、アンテナの直径は54メートルの大きさになった。
JAXA深宇宙探査用地上局プロジェクトチームの沼田健二プロジェクトマネージャは「地上局は縁の下の力持ち。地上のインフラが整備されていなければ、どんなミッションも達成できない。さまざまな場面で活躍してほしい」と期待を寄せる。
今後は「はやぶさ2」の帰還、水星磁気圏探査機「みお」などの運用を支え、NASAの月面探査計画に携わる可能性もあるという。 (写真報道局 川口良介)
「深宇宙」見据える巨大アンテナ 長野・佐久「美笹深宇宙探査用地上局」
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