千円紙幣のデザインに採用されている富士山は、山梨県身延町から本栖湖越しに望んだシーン。写真家の故岡田紅陽氏が昭和10年5月に撮影した「湖畔の春」がモデルとなり、写真には鏡面のごとく、霊峰が湖面に映り込んでいる。湖畔でキャンプ場を経営する「浩庵」の赤池宏文さん(63)は「湖面に富士山がくっきり映るのは年に数回ほど。弱風でも波が出てしまうので非常に貴重な場面です」と言う。
紙幣になった風景を見たいと早朝から撮影に臨んだ。空気が澄んだ晴天の下、穏やかだった山頂部が突然雪煙に覆われた。シャッターを数回切ると一瞬で表情を変え、何事もなかったように元の姿に。厳冬期の山頂部は平均気温がマイナス15度を下回り、最大瞬間風速は60mを超えたこともある。
東京五輪が開催される今年、訪日客はさらに増加する。湖畔を散策中の香港から来た20代女性、ササ・チリッセさんは「富士山は日本が誇るシンボル。来日したら必ず見たいと思っていました」と朝焼けで赤くなった富士山に魅了されたようだった。
(写真報道局 桐山弘太)
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全国津々浦々、その土地に生きる人々があがめる「ふるさと富士」。その数は340以上ともいわれる。各地に点在する郷土の霊峰を随時紹介する。
雪煙立つ霊峰 一瞬の出合い 富士山
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