今回の#みんなのギモンでは、トランプ大統領が猛批判するニューヨークの新しい市長について、小林史・日本テレビ解説委員が解説します。
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■マムダニ氏に「不満」あらわ、トランプ大統領
アメリカ・ニューヨークで4日、民主党でイスラム教徒のゾーラン・マムダニ氏が新市長になることが確実になりましたが、この結果に不満をあらわにしているのがトランプ大統領です。
トランプ大統領(5日)
「昨日のニューヨーク市長選の結果を見ろ。民主党は全米最大の都市の市長を“共産主義者”にした」
新たに市長となるマムダニ氏を共産主義者と決めつけ、批判するトランプ氏ですが、一方のマムダニ氏もトランプ氏に対抗心をあらわにしています。
ニューヨーク市長選当選確実 マムダニ氏(34)
「トランプのような億万長者が税金を逃れ、減税を悪用してきた腐敗の文化に終止符を」
■マムダニ氏、ラッパーだった経歴も
このマムダニ氏、どんな人なのか? 現在34歳。インド系の両親の間に生まれ、7歳の時に家族でニューヨークへ来た「移民」です。
宗教は「イスラム教徒」で、アメリカメディアによると、イスラム教徒がニューヨーク市長になるのは初めてということです。
ほぼ「無名」の存在だったマムダニ氏が、大きく注目された理由の1つが、その名も「ミスター・カルダモン」。カルダモンはインド料理やカレーなどに欠かせないスパイスですが、このような名前でラッパーをやっていた経歴があります。
さらに自身のSNSでは、スーツのまま海に飛び込むパフォーマンスも。
市長選に立候補を表明したあとはSNSを効果的に使って自身の政策を拡散するなど、ネット戦略を駆使して若者の支持を広げました。
■「家賃値上げ凍結」が物価高に苦しむ市民から支持
自らを「民主社会主義者」だと称するマムダニ氏。選挙戦で掲げた政策のメニューが、公営バスの無料化、保育の無償化、家賃値上げの凍結などで、これらを実現するために富裕層への増税を実行すると訴えました。
──ニューヨークは特に物価が高いので、こういった政策が市民からの支持を集めたと思いますが、「家賃値上げ凍結」は気になりますね。
現地メディアによると、マムダニ氏本人が住んでいるアパートの家賃は、月額で約35万円。日本人の感覚だとけっこういいお値段なんですが、実はこれ、ニューヨークでは決して高い家賃ではありません。
現在、ニューヨークで日本でいう「1LDK」の部屋を借りようとすると中央値が4400ドル。日本円にしてひと月「約67万7000円」です。
中央値なので、最も住んでいる人が多い部屋のイメージです。平均額だと、もっと高くなるはずです。そのくらい、いまのニューヨークの家賃や物価は高いんです。
──そうなると、中間層や低所得者層は住む家がないということにもなるわけですね。
死活問題です。そこでマムダニ氏は選挙戦で家賃値上げの凍結を打ち出したわけです。
アメリカには家賃を安定化させる制度があって、家賃の急な上昇が規制されているアパートがあります。こうした部屋の家賃をこれ以上上げないといった政策を打ち出して、物価高に苦しむ市民から大きな支持を得ました。
■「現状を変えてほしい」市民の思いの表れか
──ニューヨーク市民からすればいい政策に思えますが、トランプ大統領はなぜマムダニ氏をそこまで敵視しているのでしょうか?
今回の市長選は、1つの地方自治体のトップを選ぶということにとどまらない重要な意味を持ちます。アメリカ最大都市のニューヨークは、政治、経済、文化の中心地として、アメリカをけん引する象徴的な存在です。
もともとリベラル色が非常に強い民主党の牙城ですが、今回、民主党の中でもかなり左派寄りのマムダニ氏が選ばれたことは、いまのアメリカの人々が、いかに現状を変えてほしいと思っているかの表れです。
実際に物価高も止まっておらず、トランプ氏の支持率も直近ここ数週間で急落、不支持率は急上昇しているということで、トランプ氏の焦りもつのっています。
■マムダニ氏とトランプ氏 政策の違いは?
──ただ、トランプ氏も、物価高に苦しむ中間層の支持を得て大統領に当選しましたよね?
そうなんです。実はマムダニ氏とトランプ氏の支持層は重なっているんです。ただ大きく違うのは、そのアプローチ方法です。
トランプ氏は輸入品への関税や大型減税でアメリカの産業を強くすることでアメリカ人の生活を取り戻す、と主張。
一方のマムダニ氏は、富裕層や大企業から税金をたくさん取って、住宅や教育などに財源を回すという考え方。
掲げている政策はまったくベクトルが違うが、現状を変えてほしいと願う有権者に訴えかけるという構図は重なっています。
──トランプ関税の政策によって、またさらにインフレが起きているという生活実感を、アメリカで暮らす人たちが話していました。生活実感が選挙にどのように影響を与えていくかも、注目されます。
トランプ氏が狙ったようにアメリカ国内のインフレは、まだ落ち着いていません。逆にトランプ氏の関税政策がここに来てじわじわと物価高に反映しているところもあります。
◇
ちょうど1年後には政権の通信簿ともいわれる中間選挙が迫っていて、トランプ氏としては、どこまで支持層をつなぎとめられるのか。そして「対トランプ」を掲げるマムダニ旋風が、どんな広がりを見せるのか、注目です。
(2025年11月6日放送「news every.」より)
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