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「飲料担当」と「お菓子担当」、訳ありの二人の淡い恋。旧東ドイツへの郷愁を秘める上司の切ない嘘。同僚たちとのゆるやかな絆。ベルリンの壁崩壊後、置き去りにされた人達の哀しみ スーパーマーケットの灯りが優しく包む『希望の灯り』。
主人公のクリスティアンを演じるのは、フランツ・ロゴフスキ。ミヒャエル・ハネケ監督作品『ハッピーエンド』(17)でイザベル・ユペールのうだつの上がらない息子を演じ、『未来を乗り換えた男』(18)ではファシズムが吹き荒れるドイツからマルセイユに逃れてきた主人公を演じた、大注目のドイツ人男優だ。本作で第68回ドイツアカデミー賞主演男優賞を受賞。彼が一目惚れする年上の女性マリオンを演じるザンドラ・ヒュラーは、『ありがとう、トニ・エルドマン』(16)で仕事中毒の女性を演じて数多くの主演女優賞を獲得した、ドイツを代表する女優のひとり。クリスティアンに心惹かれながらも自分からは踏み出せないマリオンの心の揺れをチャーミングに演じている。クリスティアンの上司ブルーノ役のペーター・カースは、ステューバー監督の初長編映画『ヘビー級の心』では主演を務めた。
トーマス・ステューバー監督は、1981年、旧東ドイツのライプツィヒ生まれの37歳。本作は、クレメンス・マイヤー(1977年、旧東ドイツ・ハレ生まれ)の短編小説「通路にて」を映画化したものだ。1989年のベルリンの壁崩壊に続く1990年のドイツ再統一によって、旧東ドイツ人のなかには不遇をかこつ人々もいた。社会の片隅で助けあう人々の日常を静かに描き出す本作は、人と人との距離感という意味でも、孤独を時にユーモラスに描き出すという意味でも、フィンランドの名匠アキ・カウリスマキ作品に通じるものがある。「美しく青きドナウ」や「G線上のアリア」などクラシックの名曲の効果的な使い方や、カナダのゴシックフォーク・グループ、ティンバー・ティンバーの「Moments」をエンディング曲に選ぶなど、音楽センスも抜群だ。来年は壁崩壊から30周年。世界中で様々な催しが予定されている。
2019年4月5日公開
旧東ドイツの巨大スーパーで働く人たち、そのつましい世界のぬくもり/映画『希望の灯り』予告編
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