東日本大震災から1年、復旧作業が続く被災地では、企業の復興に向けた動きが始まっている。ボランティア、業界団体などの支援により事業を再開した企業もあり、生産量は少ないながらも、待ち望む消費者に製品を届け続けている。昨年末には、政府の復興予算にもめどがつき、被災地企業の再建へ向けた取り組みに拍車が掛かっている。
生産活動を再開した、宮城県石巻市の水産加工業「木の屋石巻水産」と岩手県陸前高田市の蔵元「酔仙酒造」を訪問し、現在の操業状態、今後の再建などについて話を聞いた。
創業1957年、鯨と地元で水揚げされた海産物の加工品を主に取り扱う「木の屋石巻水産」は、主力製品「鯨大和煮」の描かれた巨大タンクが石巻の観光地になっていた。同製品は50年以上も同じ味付けで、今も多くの人に愛されている。津波によりシンボルのタンクが流され、工場、店舗とも壊滅的な被害を受けたが、現在は、内陸に2キロほど離れた仮事務所で操業を続け、委託生産した製品のラベル張り、箱詰めなどを行っている。来年2月の本格稼働を目指し、現有地に加え隣町にも工場を建設する計画で、生産量は以前の5割増しまで引き上げる予定としている。再建へ歩みだした木村長努社長は「生きる張り合いをなくさないで済んだ」と胸をなでおろしながら話した。
社屋、酒蔵が全て津波に飲み込まれた「酔仙酒造」は、1944年に陸前高田市と大船渡市の8つの造り酒屋がまとまり、気仙地域(県南東の沿岸部)の酒蔵として創業した。主力製品の「酔仙」、季節限定の活性酒「雪っこ」は人気の銘柄。現在は、内陸側に隣接する一関市で、同業者の工場を借り、生産を続けている。事務所に住み込み、仕込みに当たる社長の長男、金野泰明さんは、慣れない土地柄、借り物の設備に戸惑いがあったとしながらも、製品の出来栄えについて「自分たちの酒が造れた」と自信を見せた。同社は、年内にも気仙に戻っての再建を計画。必要とされる費用を賄うため、被災地企業を支援する「セキュリテ被災地応援ファンド」に参加し、ファンドの購入者を募っている。
復興に向け、まい進する被災地企業=仮の施設で生産継続
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