【ニューヨーク時事】国連の潘基文事務総長は8日、東日本大震災から1年になるのを前に、時事通信の単独インタビューに応じた。東京電力福島第1原発事故後、日本や欧州で脱原発の世論が高まったことに理解を示しながら、世界で14億人が電気のない生活を強いられていると言及。「原子力エネルギーの安全基準を強化することで、(原発は)非常に重要なエネルギー源であり続けるだろう」と述べた。
世界人口の増加が今後も続き、気候変動問題も深刻な中、世界規模の視点から「最もクリーンなエネルギー」(潘氏)として原子力の利用は欠かせないとの考えを明確にした形だ。
潘事務総長はエネルギーの確保は途上国開発のみならず、農業の生産性向上など多くの課題解決のカギになると指摘。「福島などでの(原発)事故を受け、原発利用に対する非常に深刻な懸念があることは理解している」としつつ、原発は「持続的なエネルギー源」になると強調した。ただ、「エネルギー政策は各国が決めることだ」とも述べた。
潘事務総長は2030年までに世界の全ての人々にエネルギー供給が行き渡るよう努力するとの目標を掲げる。昨年70億人に達した世界人口は30年には80億人を超えている見通しで、エネルギー需要がさらに増すことは間違いない。
国連高官は「再生可能エネルギーの割合を急速に高めることは容易ではない。原発なしでエネルギー需要を満たすことは考えにくい」とみる。エネルギーをどう得ていくかという課題は、6月にブラジル・リオデジャネイロで開かれる首脳級の「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」で重要なテーマになるとみられる。
潘事務総長は北朝鮮の核問題に関し、米朝間での交渉の進展を「心強く思う」とする一方、北朝鮮の核施設については「安全性がはっきりしていない」と述べ、自然災害時に事故が起きることを懸念。この点からも北朝鮮が国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れる必要性があるとの考えを示した。
米朝は2月下旬の高官会談で、北朝鮮がウラン濃縮活動を一時停止するのと引き換えに、米国が栄養食品を支援することで合意。今月7、8両日には北京で食料支援実施に向けた詰めの調整が行われた。
福島の悲劇を教訓に=潘国連事務総長インタビュー
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