街灯だけが、さびれた路地裏を照らし出す。倉庫に似た建物の入り口には看板もなく、住所表示さえない。夜の闇に紛れて若者が1人、また1人と吸い込まれていく。古ぼけたドアを開けると、そこには妖しい光景が広がっていた―。ソチ冬季五輪の舞台、ロシア南部ソチにあるゲイバーを訪れた。
入り口で入場料300ルーブル(約900円)を支払う。女性客は500ルーブルと割高だ。さすがゲイバー。
と感心している間もなく、ショーが始まった。建物の内部は意外に広く、客はざっと150人ほど。男だけでなく、女も多い。中央の舞台に女装した男性が登場して、機関銃のようにスラング交じりのジョークを繰り出す。ソチ五輪と選手がネタで、客は大受けだったが、残念ながら筆者のロシア語力では3分の1も聞き取れなかった。
何となく緊張したまま時間が過ぎていく。大半の客はすごくおしゃれで、ロシアの中にぽっかり異空間が出現した趣がある。客席のアフロヘア―のお姉さん(?)に写真を撮らせてくれと頼むと、あっさりOKが出た。意外に思いつつ、iphoneで撮影。
「私はティムール。エカチェリンブルク(ウラル地方の都市)から来て、オリンピックの間ここで働くの」。ダンスの芸人だった。しばらくたって彼らが舞台に登場した。とても激しい踊りだった。
ソチ五輪は政治問題に色濃く彩られている。ロシアの同性愛宣伝禁止法への西側の反発がそれだ。ソチ市長が「ソチにはゲイはいない」と発言したことから一層注目を浴びることになったこの問題。だが、ソチにゲイはいた。
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五輪で沸くロシア・ソチの夜を歩く=ぽっかり異空間、ゲイバーに潜入
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