日本銀行は29日の金融政策決定会合で、上場投資信託(ETF)の購入額をほぼ倍増の年6兆円に引き上げる追加緩和策を決めた。金融緩和は今年1月にマイナス金利政策の導入を決めて以来半年ぶり。世界経済の減速や円高による企業業績の下振れ、節約志向の再燃が示す消費者心理の冷え込みで、「2017年度中に2%の物価上昇」とする目標達成が危うくなったためだ。追加緩和によって長い期間の取引を含めた金利の一層の低下を促し、経済全体の押し上げや物価の下支えを図るのが狙い。
このほか、企業の海外展開を支援するための銀行経由のドル資金融資枠を240億ドルに倍増するなどした。
しかし、マイナス金利幅の拡大や国債購入額の増額は見送っており、迫力不足の緩和策となった側面は否定できない。マーケットも発表前の1ドル=104円台から追加緩和策が伝えられると一気に一時102円台に円高が進行、日経平均株価も一時300円以上下落するなど否定的な反応を示した。
政府が近く大規模な経済対策を打ち出すのとタイミングを合わせ、政府と二人三脚でデフレ脱却を目指す姿勢をかろうじて演出した格好だ。経済対策では財政投融資の活用や建設国債追加発行が検討されており、追加緩和は政府の資金調達コスト引き下げや同国債の円滑な消化に寄与する面はある。また、マーケットが追加緩和を織り込んでしまい、前回に続いて今回も見送れば円高・株安が一気に進む恐れがあったことも、日銀の判断に影響した可能性がある。
ただ、追加緩和は銀行の利ザヤをますます縮小させるため、民間の資金需要が弱い中で融資拡大に向けたインセンティブが逆に低下する事態が懸念される。財政規律に対する市場の監視機能の弱体化も招きかねない。秋の大統領選挙をにらみドル高の動きに神経質となっている米国が日銀の追加緩和を円安誘導とみなせば、為替相場をめぐる日米両国の亀裂がより鮮明になりかねないなど、行き過ぎた金融緩和の副作用も懸念される。
日銀は次回の決定会合でマイナス金利などの政策効果を検証するとして、一段の緩和に含みを持たせているが、ETF購入額増加という中途半端な追加緩和しか踏み込めなかったことからも金融政策の限界が浮き彫りになった。
映像素材の購入はこちらから https://www2.jiji.com/f/enq/form.php?pid=kiji
日銀が半年ぶり追加緩和=ETF購入額を倍増-時事編集局専任局長が解説
カテゴリ一覧
スポーツ
ニュース
音楽
ラーニング
趣味
グルメ
ガールズ
ゲーム
ギャンブル・宝くじ
エンタメ
アニメ・漫画
どうぶつ