沖縄の新興企業の育成、発展に向けたイベント「沖縄イノベーションカンファレンス」で公開収録されたボストークIN沖縄。沖縄の個性的なスタートアップ企業2社と、北海道と沖縄のスタートアップ支援企業2社のボスに事業の可能性と将来の夢を聞きました。
――スタートアップトークと題し、沖縄のスタートアップ企業2社のボスにお話をうかがいます。1人目は「Alpaca.Lab(アルパカラボ)」の代表取締役、棚原生磨さんです。(アルパカは2018年に創業。運転代行の配車プラットフォーム「AIRCLE(エアクル)」を独自のAIを使って開発し、事業を拡大している)
――起業したきっかけは?
運転代行業界の歴史は長いんですけども、20年前に法律ができたばかりの比較的若い市場です。ルールメイキングがきちっと適用されていないことから、いわゆる貧困ビジネスになりかけていた。単純に業務の非効率とか、人手不足もあるんですけども、業界全体にルールがないばかりに、どんどん疲弊するのを我々の手で解決できないかと、非常に興味を持ってやっています。
――沖縄で課題解決に取り組もうと考えられたのは?
運転代行業界市場が全国で一番大きいのが沖縄県。8000業者近くあり、1位が沖縄。2位が福岡、熊本、群馬と続いて、北海道にも200業者近く存在している。
――(背景には)沖縄の車社会が大きいのですかね。
公共交通インフラが少ないってことですね。夜遅くまで飲む習慣が非常に大きな要素になっています。
――エアクルの開発で、その課題は少しずつ解決に向かっていると考えていますか?
人手不足や非効率性は大分、解決されてきたかなと思っています。なおかつ、ちゃんと利益が出るサービスになっていて利用者が増え、良いスパイラルが起きています。
――実際にどういったことをやるのですか?
タクシーの配車アプリと同じで、現在地と目的地を入力するだけで最適なスキルセットを持ったドライバーさんとマッチングし、自宅まで運転して送り届けるのが弊社のサービスの特徴です。今までは運転代行業者さんを探すのに大体5分ほどかかり、平均到着時間は大体60分程度。弊社のサービスは7分ぐらいで到着します。
――札幌でも、すすきのでも使いたいなって思うんですが、北海道には?
沖縄の感覚では、雪が降ったら車で移動しないんじゃないかなと思ったら、みなさんは普通に移動されていました。しかも夜の12時まで飲んでいらっしゃる。そういう地域であれば間違いなく使っていただけると思いましたね。
この先の未来はどう描かれているんですか。
――このプラットフォームの力によって、いわゆる貧困ビジネス化していたものが解決されていくシーンは描けたかなと思っています。今、10県くらいでサービスを提供し、さらに全国に広げていきます。どの業界も人手不足です。車を移動してほしい、ドライバー人材がほしい、介護事業で人手が不足している―。そこに弊社の持つドライバーセットを活用し、運転代行業界がお酒を飲んだ市場に依存しない形を作りたいですね。
普通に飲んだ後のサービスではないところに拡大していく可能性があるのですね。
「エアクルの名前の由来は空気のようなビークルから来ているんです。生活に即した空気のようなインフラになってほしいという思いから付けたので、お酒を飲んでないさまざまなシーンで弊社のサービスが使えるような進化を遂げたいなと思っています。
――ぜひ北海道でもお待ちしています。
「はい、行かせていただきます」
――続いてのゲストは「URAKATA(ウラカタ)」の代表取締役、山田慎也さんです。(URAKATAはウェブサイトの受託制作などを担う会社として2018年に創業。2020年からはキャンプ用品を無料で預かり、格安でレンタルするシェアリングサービス「ソトリスト」を運営し、人気を集めている)
――どのようなきっかけで起業に至ったんでしょうか?
我々メンバー全員の共通の趣味が釣りとかキャンプで、充実した時間を過ごしていたんですね。大人が好奇心を持ち続け、思いっきり人生を楽しむ体験は社会にも良い影響が与えられるんじゃないかと、アウトドア領域に参入したんです。キャンプってイメージしやすいですけど、必要な道具を購入したり、どう始めていいのか分からなかったり、意外に参入障壁が高いんですね。まず道具の課題となっている部分を解決するためのサービスとして、ソトリストシェアリングサービスを開始しました。
――スタートアップ企業って社会課題に対して起業し、解決していこうっていう会社が多い中で、自分が好きなことからスタートするのは非常に珍しいのでは?
今、働き盛りの大人が自分の人生は楽しいよって体現できる機会や、次の世代にそれをポジティブに体現できる大人が非常に減っているなと感じるんです。『人生まだまだ楽しむぞ』っていう大人を、アウトドアを通じて増やしていきたい。活力のある大人を世の中に増やしていきたいなと力を入れています。
――沖縄ならではのアウトドアの楽しみ方は他の都道府県とはちょっと違いますか?
沖縄は全国に比べて海に面している場所が多いので、オーシャンビューの環境でキャンプとかアウトドアを体感できるロケーションに特性があるのと、1年を通して気候が安定しているので、通年で魅力的なアウトドアに良い場所だなと感じていますね。
――今後の展開は?
山梨にも展開拠点を広げていて、どんどん拡張していきたいんですけど、やっぱり施設のDX化など、いろいろと課題があるんですね。アウトドア産業に参入してないところでシステムを提供し、日本独自の自然体験は他の国にはない魅力にあふれているので、その体験価値を世界に発信していきたいなと考えていますね。
――自分の理想のキャンプ場を作りたくなりませんか?
実際、そういう最終的な夢はあるんですけど、施設が老朽化したりとか、遊具が撤去されたりした自治体の課題の種となっている公園やスポーツ施設を、キャンプ場とかアウトドアパークとして利活用し再生する事業に取り組んでいます。利用目的が明確な施設として動くことで、いろんな人が来て、にぎやかになって、相乗効果で経済効果も高くなる。地域を元気するところで自治体との連携し、こういった施設運用にも力を入れています。
――北海道でもそういうサービスがあったら本当にいいなと思います。いかがですか?
北海道の展開も視野に入れています。北海道って人口1人当たりのキャンプ場などの公共施設が日本で一番多いですね。我々が逆に活躍させていただける場が非常に多いなと思っているので今後展開したいなと思っているので、ぜひよろしくお願いします。
――スタートアップ支援企業2社のボスをお迎えし、スタートアップサポータートークをお送りします。「D2ガレージ」(札幌)の代表取締役、佐々木智也さん。沖縄のフォーシーズの代表取締役CEO、豊里健一郎さんです。(D2ガレージは2018年、東京のデジタルガレージ社と北海道新聞社の合弁会社として設立され、新たな価値の創出イノベーションエコシステムの構築を進める。フォーシーズは豊里さんが中国に15年間、留学や勤務で過ごした後、2017年に出身地の沖縄で設立。起業家支援施設「コザスタートアップ商店街」を運営し、沖縄をアジアのスタートアップハブにできるよう、スタートアップエコシステムの形成を目指している)
――なぜ北海道、沖縄という土地でスタートアップの支援を始めたのでしょうか? まずは佐々木さん。
生まれが北海道で、大学も新卒で入った企業も札幌でした。当時、札幌にIT系のスタートアップが複数あり、そこの上場を経験させてもらって、いつかは僕自身がそうなりたいと思ってデジタルガレージに転職しました。そこで『事業をやってみろ』と言われ、5社ほど作り、失敗したり、うまくいったのもあるんですけど、次は『スタートアップの支援をやってみろ』と。『お前は失敗をいっぱいしているから、同じことをしなきゃいいんだ』っていう失敗からスタートアップ支援を始めた経緯ですね。
――豊里さんはいかがでしょうか?
僕も沖縄市コザっていう米軍基地のある町の商店街で生まれ育った人間です。高校から中国福建省の大学に編入し、香港にある日本通運に就職しました。沖縄に戻ってくるつもりはなかったんですけど、地元からアジアを目指した方が近いなっていう理由だけで沖縄に戻ってきた。福岡のスタートアップ支援拠点としてフクオカ・グロース・ネクストがあり、前身のスタートアップカフェの取り組みは2015、16年ごろからやっており、その横展開が僕の地元のコザで2016年から17年にかけて立ち上がっていた。スタートアップラボラグーンが今は那覇や沖縄市にもあるスタートアップエコシステムの新たなブランドとして、立ち上がって、私が代表となって、スタートアップが成長できる環境作りを目指そうという形で、いつの間にか起業家であったけど支援機関にもなって必要とする支援の形、エコシステムの理想を描きながら、ブランドもできた感じですかね。
――お互いの北海道、沖縄でその土地柄、地の利を生かしたおもしろいスタートアップもおうかがいしたいんですけど。
沖縄らしいところではハローワールドっていうまちなか留学を展開するスタートアップですね。米軍だったり、基地の方だったり、いろんな多様な文化があって、その人たちと仲良くなれば、もっと平和になるじゃんっていう感覚も非常に沖縄らしいし、沖縄から生まれてくるスタートアップだなと思います。
――沖縄発のスタートアップとしてEFポリマーさんがありますよね。
植物性のポリマーを作っている。インドの干ばつ地域で生まれ育ったナラヤンさんというCOOが農業の暮らしを良くしたいと作られたポリマーなんですけど、世界のトレンドで脱炭素の中でEFポリマーが目指している世界観や、植物性で化学由来のものじゃない環境に優しいポリマーを作っているところでも注目を集めるスタートアップになっています。
――佐々木さん、北海道らしいスタートアップどんなものありますかね。
北海道は北大を中心として大学ネットワークがあるので、そこから生まれるディープテックの企業だったり、漁師が日本で一番多いので、漁師の海難事故を防ぐ見守りサービスの『よびもり』だったり。酪農のごみにある微生物が生ゴミを分解するというので立ち上がった会社『コムハム』も北海道らしいかなと。コムハムは沖縄の離島で採用されている。
――フォレストデジタルさんもありますよね。
デジタル森林浴を取り扱っているんです。建物の空間をイマーシブ空間、没入感にするチームなんです。
――地域のスタートアップの未来をどういうふうに描かれていますか。佐々木さん。
北海道に限らないんですけど、オール日本でやっぱり世界の外貨を稼ぐんじゃないですけど、世界に飛び立つスタートアップを生み出さないと、僕らの子どもが全然元気にならないと思うので、そういうところに残りの人生をかけたいなと思っていまして。
――豊里さんはいかがでしょうか?
沖縄のスタートアップが育つだけではだめだと思っていて、そこから得られる知見とか、資本のリターンも含めて地域に循環させて地域の経済をもっと元気にさせることかな。エコシステムをしっかり作る。リターンがあると、次の何年後かに出てくる新たなスタートアップ成長産業を作りたいという人たちに応援ができる。アジアと日本の架け橋。万国津梁。琉球の時代からある架け橋っていう意味なんですけど、全ての国の架け橋になれるよう、スタートアップの架け橋になれるような支援者になりたいと思っています。
――世界をつなぐ、そんな存在に沖縄のスタートアップがなっていく日が来るということですよね。今日はありがとうございました。
北海道と沖縄 地方からイノベーションを「BOSSTALK IN 沖縄」#BOSSTALK
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