デジタル変革(DX=デジタルトランスフォーメーション)や働き方改革の推進が求められている建設業。北海道最大手、岩田地崎建設の次の一手は? 岩田幸治副社長に100年企業の未来図を聞きました。
|バンド活動に夢中 マスコミ志望だった学生時代
――出身地は? どのような子供時代や学生時代を過ごされましたか?
札幌出身です。中学生から大学生までバンドにはまっていました。当時は60~70年代のロックから、最新のものまで、洋楽中心にいろいろと聞いたり、ライブやったりしていました。
仕事はずっとマスコミに行くのが夢で、大学もそちらの方面に強い方へ進学しました。
――家業を継ぐのを意識されていなかったのですか?
父からは「別に継がなくていいぞ」って言われてましたし、私自身も「敷かれたレールの上を走らないよ」などと思っていました。
当時尖った部分があったのです。スポーツノンフィクション小説が好きで、テレビっ子だったところもありました。どちらかの分野でマスコミに行きたいなってのは漠然と考えていました。
――家業と向き合ったはタイミングはいつでしたか?
ちょうど就活の時期に入り、マスコミ中心にいろんな業界訪問や研究していく中で、当社の合同企業説明会が東京で開催されたところにこっそりと忍び込みました。
見事にばれるわけなんですが、そうした関わりから始まりました。たまたま会社に行くと古参の社員から「こうちゃんか! オレは小さいころ抱っこしてやったんだぞ」と言われるわけです。
会社に育ててもらったと強く感じるようになり、この会社を良くしたい、継ごうと思いました。
|デベロッパーに就職するも"2年目で倒産" 不動産仲介会社も経験
――大学卒業後すぐに戻ってきたのですか?
大学卒業後は私もいろいろ外を見て修行してから会社に戻りたいなと思っていたもので、1年間アメリカシアトルに留学させていただきました。
東京の不動産開発会社(デベロッパー)に就職しました。そこではマンション販売や首都圏の一等地の再開発事業も関わらせてもらいましたが、入社2年目でリーマンショックのあおりで、倒産しました。
もう1社、法人向けの不動産仲介会社に拾っていただいきました。2社を経験し、2012年会社に戻ってくるということになりました。
――東京の経験は今振り返ると感じますか?
マンション販売をしていたときにはもう体当たりの営業でした。
なかなか若いうちにしかできないような経験。体力と根性、メンタル的なものも含めてすごくいい経験をさせていただきました。
会社の倒産を中から見るという経験もなかなかできない。すごくいい経験をさせてもらったと思っています。
|振り出しは東京支店 採用担当しながらMBA取得
――戻ってきてどんな仕事を担当しましたか?
いきなり本社に戻るより、もう少しちょっと見識を広げたいという思いも。
最初は東京支店に入り、総務として採用や経理を担当しました。
入社した2012年当時は小泉政権の構造改革や民主党政権時代のコンクリートから人へという流れで、非常に業界全体が苦労した時代でもありました。
採用を限定したり止めたりも。ただ人を採用していかなければ会社が後に続いていかないと思い、大学や高校を訪問。それこそ先ほどのマンション販売の経験を生かして、直接たずね、採用復活させました。
――汗をかき泥臭く地道に学校を回ったのですか?
サラリーマン時代も含め、ある程度自分の努力で結果が残せたということが、その後に自分の自信につながったと感じています。
東京支店で働きながら東京の大学院で経営を勉強しました。2016年卒業と同時に札幌に戻ってきました。
――大学院ではどういう勉強を?
いわゆるMBA(経営学修士)。毎日、何回も何回もディスカッションし、擬似的に経営判断を繰り返す経験をさせてもらいました。判断のトレーニングが身になったかなと感じてます。
|「DXの前の前の段階」まず"デジタル化"を推進
――会社を引っ張っていくボス・リーダーになられて、力を入れいることは?
DXを業界としても進めていく中で、数年前からICT推進部という専門部署を立ち上げました。
3Dモデリングによる情報共有システムですとか、BIMやSIMといったものを推進しています。ドローンによる無人点検システムの共同研究に取り組み始めたところでもあります。
――業界としてはDXやAIを使った新しいイノベーションが進んで最中ですか?
古い業界でもありますので、DXの前の前の段階、デジタル化から進めていかなければならない部分もあります。
社員のデジタルリテラシーをまず上げていかなければ、専門担当部署だけで進めていくものでもないです。
全社で一緒に作り上げて、一緒に変えていかなければならないものでもあります。時間はかかるとは思いますが、着実に進めていきたいです。
|ミッション「安心で豊かな社会環境づくりに貢献する」
――未来のボス・リーダーとして大切にされていることは?
社訓で「総親和」「努力」「誠実」の3つを大切にしてきました。
特に最初の「総親和」は創立者の思いが非常に強い部分。社員全員で力を合わせて一つのことに取り組むことも含まれていますが、当社だけではなく発注者や協力業者の皆さん、地域社会の皆様すべてに利益が渡るようにという考えです。
三方良し(近江商人の経営哲学のひとつ)に近い概念でもあります。人や地域、周囲を大切することを会社として大事にしていきたいとは思っています。
当社は2007年に2社の合併によって一気に規模も風土も変わった部分がありました。
しかし創業時からずっと今まで変わらず大切にしてきたことや目指してきた部分があったので、これを去年創立100周年に合わせてミッションとして掲げました。
「安心で豊かな社会環境づくりに貢献する」。今までもこれからも一貫して変えずに持ち続けるスタンスで、当社の使命でもあると思います。
これ以外のところは時代に合わせて変えてもいい。建設業だけにこだわることでもないとすら思っています。
|「新たな価値を提供」産学官連携でバイオエネルギーのプラント開発
――建設業以外の分野にも出ていくということですか?
そうですね。社会の要請があればそれに合わせて当社が新たな価値を提供していくことが今後大事になっていくと思います。
――種を植えて芽が出ているようなことも実はあったりしますか?
産学官連携も進めているところがあります。一つは興部町や大阪大学、エネルギー系の企業との産学官連携です。
興部町のバイオガスプラントから排出されるガスを、液体燃料のメタノールや飼料の添加剤に使われる「ギ酸」に分解するパイロットプラントを開発。今後これを大量生産する準備に入っていきます。
――建設業は建物を建てるというイメージがありますが、違う形で世の中に貢献していく取り組みもされているのですね。
やはり北海道全体は地域がまずは豊かにならないと建築のニーズも生まれませんし、人がいなければインフラのニーズも公共投資のニーズも生まれないというふうに思っています。
まず地方に元気になっていただくこと。それが当社の未来にも繋がると思っています。
――建設業の未来、そして会社の展望は?
現場の効率化を含めた働き方の改革を行っています。
業界全体で変革が迫られている状況にあります。まずは建設業に関わる人すべてが幸せに働ける未来を描いていかなければならない。
DXを中心とした建設業が提供する価値。これも時代に合わせて新しいものをつくっていかなければ未来はないと考えています。
当社は北海道から生まれた会社で、北海道に育ててもらった会社であります。新幹線の工事が進んでいる中で、これから北海道に来る観光客、インバウンド客が少しずつ戻り始めています。
安心と豊かさを北海道に提供し続けることが使命。もちろん北海道だけではなく、道外うあ海外でも事業展開してますので、少しずつ伸ばし、会社としての成長も目指したいです。
北海道の活性化を目指すボスたちと北海道の未来と経営を楽しく真剣に語り合う「BOSS TALK」(ボストーク)。廣岡俊光キャスターがボスの本音に迫ります。
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100年企業の未来図 "DX&働き方改革"推進―バイオガスで産学官連携も「岩田地崎建設」岩田幸治さん #BOSSTALK
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