モユクサッポロや札幌ドームなどランドマークに鉄骨を供給している旭イノベックス株式会社(本社・札幌市)。世界中から水害で亡くなる人をゼロにしたい――。ストーリーを大切にした製品の一つ、自動開閉水門でも注目を集めています。トヨタ自動車での経験をもとに改革を進めてきた代表取締役社長の星野幹宏さんに新たな事業構想を聞きました。
|ウポポイにも供給 ランドマークの鉄骨つくる会社
――手がけた代表的建物は?
最近では、札幌市中心部に7月にオープンした複合商業施設モユクサッポロ。過去には、札幌ドームやウポポイ(民族共生象徴空間)に鉄骨を供給しました。
――子どものころは?
札幌市のとなり、北広島市出身で、小学4年生まで住んでいました。市内には会社の工場があり、幼いころはよく遊びに行きました。祖父も近くに住んでいたので、家族仲良く暮らしていました。
――星野さんで3代目ということですが、子どものころから家業を継ぐという思いはありましたか?
幼いころから、家で祖父や父が仕事の話をしていたので、どれだけ大変かということはよく理解していました。簡単なことではないと思っていました。
大人になるにつれ、自らが社長になると決めたからといって、社長になれるわけではないと感じていました。リーダーになることは、人に選ばれるということ。自分でなろうと思っても、なれるものではないと子どものころに考えていました。
――家業を継ぐことも選択肢の一つとして、意識はしていましたか?
子どものころは周りから「3代目、3代目」と言われていました。小学校の同級生の母親に「3代目は会社をつぶすんだよ」と言われたことが強烈な原体験で残っています。教訓を叩きこまれた良い機会でした。
|トヨタ自動車に就職 "生産方式"を学ぶ
――進学は?
東洋大学経済学部に進学。大学の授業では「トヨタ生産方式」を学びました。
――大学卒業後は?
父親も務めていたことがあるトヨタ自動車に就職しました。
――日本を代表するものづくりの会社で、どのようなことを学びましたか?
トヨタ自動車には7年間在籍しました。トヨタ自動車で働いている人は、頭もいいし性格もいいし、人格も素晴らしいし、スポーツもできてしまうような、"すごい人"の集団でした。とてもかわいがってもらい、充実した日々でした。
――トヨタ生産方式とは?
「ムリ・ムラ・ムダ」を徹底的に排除することなのですが、柱は「人間尊重」と「自働化」です。仕組みをつくり、良い状態で循環するための生産方式です。
|成功のカギは"常にカイゼンする文化"
――トヨタ自動車を退社後は?
2007年に旭イノベックスに入社しました。当時はかなり景気が悪く、3部門のうちの1つ、暖房機をつくる部門が赤字に転じていました。
会社全体では、旭鉄工所、旭製作所、旭イノベックスの3社が合併し、現在の旭イノベックス株式会社になるタイミング。赤字の部門をどのように黒字化させるか、大きな課題でした。
当時、総務企画人事に配属され、様々な課題が浮き彫りに。トヨタ自動車の先輩が退社するときに、「相当、君は変態になってるよ。体内時計もおかしくなっているし、色々な物を見たときに"カイゼン"の癖がついているので問題だらけに見えストレスを感じると思う。自分のスピード感を人に押し付けずに、会社が抱える課題をメモに残し、それを何年もかけて少しずつ改善していきなさい」というアドバイスをもらいました。
"常にカイゼン"が共通認識となっているトヨタ自動車の中では、改善点を指摘することは、過去の否定ではなく、より良くなるための手段です。
その文化がない中で課題を指摘するとダメ出しになってしまう。トヨタ自動車の先輩のアドバイスどおりに、課題をひたすらメモに取りました。
――文化をつくることが必要だったということですね。
課題の解決策は既に見えていたので、すぐ黒字転換できるという自信もありました。
|職場環境の改善からスタート「自分たちでやった実感を」
――黒字化には成功しましたか?
2年間かけて黒字化に成功しました。成功のカギは、自分事と認識してより良くすることを楽しんでもらう仕組みづくりが良かった。
トヨタ自動車の上司のアドバイス通りにメモを取っていると、社員から「赤字なので遠慮せず、すぐに手伝ってください」と言われたことがきっかけです。
まずは、チームをつくり基本的な改善の考え方を共有していきました。収益を上げることよりも、職場環境の改善を重要視。従業員の負担を徹底的に改善するための案を出して、お金を使うことから始めていきました。
すると、チームの中から「僕、こうやった方がいいんだけど」という人が出始め、一気に改善していきました。社員から次々と改善の案が出てくると、自分たちがやったという実感につながります。
|商品は"社員"に ストーリーで理念共有
――社長に就任されたのはいつですか?
2018年に代表取締役社長に就任しました。
――いま力を入れて取り組んでいることは?
私たちは製造業、いわゆるメーカーです。将来的に製品を売り続け、この会社を維持できるのか。難しいのではないかと感じています。
生み出す製品は変わらないのですが、商品は"社員"にしたい。そのためにはストーリーを共有し実現するために何をつくるかを考えてもらっています。
建物では、安心安全の建物を建てるためにお客様や協力業者、ゼネコン、それぞれの仕事をいかに楽にするか。何も考えずに鉄骨といえば、旭イノベックスに電話するとできる状態をつくろうとしています。
水門では世界中から水害で亡くなる人をゼロに。暖房の部門では、24時間365日、冷暖房を意識せずに空間を過ごせるようにするストーリーを共有しています。
|トヨタの教えは「ボスになるな リーダーになれ」
――ボスとして心がけていることは?
トヨタ自動車の中では「"ボス"になるな、"リーダー"になれ」という教えがあります。
背中で見せたり、無理やりついてこさせようとするボスになるのではなく、自分も参加し組織が掲げるテーマの実現をゲームにできる人がリーダーだと理解しています。
何事も楽しくなければ続かない。守るべきことは守り、より楽しく、より良くしていくことをリーダーが実現すると思っています。
決断に対して責任を取るのが社長。悪いことが起きたときには、僕が最初に謝りにいく。それが僕の仕事なので、もれなく悪いことを早く僕に伝えてくださいと社員に伝えています。
――これから会社と自身をどのように成長させていきたいですか?
水門をつくる部門では、世界中から水害で亡くなる人をゼロにすると掲げています。"世界中から"という一言を入れるのを結構迷いましたが入れることにしました。
北海道でオートゲートという新技術を育てられたので、この技術を外に広げていきたいという思いがあります。広げることで北海道にフィードバックできることも多いのではないでしょうか。
北海道には様々な成長エンジンがあるが、北海道をベースに様々なところに行き、北海道産の技術を展開していきたいです。
――"リーダー"としてのこれからは?
年齢も重ねてきたので、少しボスの風格をつけていきたいなと思います。
北海道の活性化を目指すボスたちと北海道の未来と経営を楽しく真剣に語り合う「BOSS TALK」(ボストーク)。廣岡俊光キャスターがボスの本音に迫ります。
#鉄骨 #自動開閉水門 #旭イノベックス #星野幹宏 #若手経営者 #札幌市 #北海道 #北海道ニュースuhb
📺毎週火曜 深夜24:25~ 北海道の8chで放送中!
https://www.uhb.jp/program/bosstalk/
モユクや札幌ドームへ鉄骨供給 独自技術の"自動開閉水門"で世界注目 「旭イノベックス」星野幹宏さん #BOSSTALK
カテゴリ一覧
スポーツ
ニュース
音楽
ラーニング
趣味
グルメ
ガールズ
ゲーム
ギャンブル・宝くじ
エンタメ
アニメ・漫画
どうぶつ