北海道胆振東部地震から9月6日で5年。大きな被害を受けた厚真町では2023年度いっぱいで大型の復旧事業がほぼ完了する見込みです。一方で、まだ癒えない傷も残っています。
「♪希望の種が芽吹くころ生命は根を張る」(厚真町復興応援ソング「大地の息吹」シンガー・ソングライター 半崎 美子さん)
9月2日、厚真町で行われた追悼式。復興への思いを込めた歌声が響きました。
「顔見知りの人たちがたくさん亡くなって、また悲しみがこみ上げてくる。本当に頑張って生きていかなければならない」(追悼式の参列者)
5年前の9月6日、午前3時7分、最大震度7を観測した胆振東部地震が発生。44人が亡くなりました。
「押し流された土砂が家屋を巻き込み道路や畑にまで流れ込んでいます」(廣岡 俊光 アナウンサー)
最も被害の大きかった厚真町では大規模な土砂崩れが発生し37人が犠牲となりました。あれから5年。
「大型のインフラ災害復旧事業は、2023年度いっぱいでおおよそ完了する。大規模な自然災害被災地としては非常に速いスピードで復旧作業が進んだ」(厚真町 宮坂 尚市朗 町長)
防災工事で使う土の保管場所となっていた一部の農地の復旧作業が11月に完了する見通しで、地震から5年の節目に農地が地震前の規模に戻ることとなりました。
しかし、ここに至るまでにはある苦悩がありました。
「2年間しかない、災害救助法の適用期間は。2年の間に仮設住宅を解体する」(厚真町 宮坂 尚市朗 町長)
厚真町では仮設住宅が153戸建設され、183世帯514人が入居。当時の町の人口の1割以上が入居したことになります。しかし、利用できる期間は最長で2年3か月です。
その間に自宅を再建するのか、あるいは公営住宅に入居するのかなどの決断を迫られます。
「3列仮設住宅があって一番奥の2番目」(佐藤 泰夫さん)
農業を営む佐藤泰夫さん。自宅が被害を受け、仮設住宅に入居しました。
被害を受けた水田の復旧など農業の再建を第一に考え、住居のことは二の次になっていました。
「2年間余裕あるなと思った。いろんな手続きだとかあって、あっという間に1年過ぎた。それから『さぁ住宅をどうする』もう1年しか仮設住宅にはいられない」(仮設住宅に入居していた 佐藤 泰夫さん)
結局、佐藤さんは自宅の再建をあきらめ、中古住宅に入居することを決めました。仮設住宅からの退居は一番最後となりました。
「少なくとももう1年あれば、もう少しゆっくり考えられた」(仮設住宅に入居していた 佐藤さん)
国により特定非常災害に指定されると仮設住宅の入居期限が延長可能となります。胆振東部地震と同じ最大震度7を観測した、2016年の熊本地震は特定非常災害に指定され、仮設住宅の使用が4年間延長されています。
しかし、死者行方不明者の数や全壊家屋数などの基準があり、現在まで7件しか指定されていません。
「我々は相当踏ん張った。せめて、3年にしてほしい」(厚真町 宮坂町長)
当時、被災者の住まいの再建を担当していた町の職員も。
「まだ支援制度もはっきりわからない中で、本当に自分が家を建てられるかどうかもわからない。そんな状況で『災害公営住宅に入るかどうか決めてください』というのはかなり酷な質問だったと思う」(厚真町 まちづくり推進課 小山 敏史さん)
北海道の場合冬の間は建物の基礎工事が難しいなど制約があり、住宅の再建には時間を要します。災害時の支援制度に詳しい専門家は、全国一律の規定に疑問を投げかけます。
「地域の状況を見たら(期限が)2年3か月では無理なパターンもあったはずだが、そのような期限を設けていたところに問題があった」(関西大学 社会安全学部 山崎 栄一教授)
法律の改正により昨年度から都道府県や政令指定都市の判断で使用延長が可能となりましたが、国からの経済的支援は打ち切られます。制度そのものの見直しが必要だといいます。
「北海道などの寒冷地では、最初から半年間(期限を)延長するなど制度設計が必要」(関西大学 山崎教授)
中古住宅に移り住んだ農家の佐藤さん。地震の前はコメとホウレンソウなどの野菜を作付けしていました。
「(Q:この重機は?)これはね正芳の遺品」(佐藤 泰夫さん)
隣に住んでいたいとこの正芳さんは土砂崩れで亡くなりました。
遺品のショベルカーで復旧作業を行い、コメは被災前の規模に戻りましたが野菜はまだほど遠い状況です。
「(Q:これが埋まっていた?)埋まっていた。コンクリートだから、正芳の住宅の基礎では。かなり捨てた。トラック2台分ぐらい。本当は元の自宅を休憩所にすればいいかなと思うが、休憩できるような心境にはならない。時間が解決してくれるというが、ただ、ふたをしてるだけ」(佐藤さん)
胆振東部地震から5年。厚真町の大型の復旧事業は2023年度でほぼ完了する見通しですが、いまだ癒やされない傷は残っています。その中で、町民は歩み続けています。
それでも歩み続ける「頑張って生きていかなければ…」北海道胆振東部地震から5年 復旧事業ほぼ終了も…"住居再建"に課題 (23/09/06 19:30)
カテゴリ一覧
スポーツ
ニュース
音楽
ラーニング
趣味
グルメ
ガールズ
ゲーム
ギャンブル・宝くじ
エンタメ
アニメ・漫画
どうぶつ