きのとや、千秋庵、SNOWS…。北海道を代表する人気菓子ブランドを展開する北海道コンフェクトグループ。ブームにもなった「焼きチーズタルト」をはじめ、数々のヒット商品を自ら手がけてきた代表取締役の長沼真太郎さんにこれからのビジネス戦略を聞きました。
「菓子店をやりたい」商社へ就職→1年で退社し海外へ
――出身は? 子どものころに熱中したものは?
札幌市です。18歳までいました。小・中・高と野球に打ち込んでいました。高校は、札幌南高校に進学。野球部でキャプテンを務め、甲子園を目指していました。
――将来も考えていましたか?
明確には考えていませんでしたが、菓子店をやりたい、ビジネスの道に進みたいとずっと考えていましたね。高校卒業後に上京し、慶応義塾大学商学部に進学。ビジネスを学べる道に進みました。
――大学卒業後は?
お菓子を勉強したいと思い、お菓子に関わるビジネスの会社を受けました。
その中でも菓子のシェアが一番高かった総合商社「丸紅」に入社しました。海外から輸入したお菓子を国内で営業したり、日本の中小企業の菓子店の海外進出を支援したりしていました。
しかし、1年で仕事を辞め海外へ。香港の投資家に「上海で菓子店をやりたい。手伝ってくれ」と言われたんです。承諾し、すぐ上海に行きました。
――成功しましたか?
7カ月ほどで完全に頓挫しました。香港の投資家は、きのとやの息子のわたしがお菓子を作れると思っていたようで。
僕はお菓子を作れない。そもそものミスコミュニケーションがあり、上海の一等地の場所を借りていたが、途中でうまくいかないと判断。泣く泣く日本に戻ってきました。
1日50個→5000個に…"見せ方"変えて大ヒット「焼きたてチーズタルト」
――日本に戻ってからは?
北海道に帰ってきました。いったんお菓子を一から勉強し、現場で向き合ってみようと思い、2011年に株式会社きのとやに入社しました。
そのとき、新千歳空港で新しいブランドに挑戦中だったんです。そのブランドが完全に失敗していました。
1日の売り上げが5万円ほど。そこをぜひ任せてほしいとお願いをし、任せてもらうことに。繁盛店にするために試行錯誤を繰り返し、生み出したのが「焼きたてチーズタルト」です。
きっかけは、シンガポールで開かれた北海道物産展の催事。オーブンで焼いたチーズタルトを冷やし、箱に詰めて冷蔵ショーケースで販売していました。
催事の途中で販売するための箱がなくなってしまったんです。箱がないと出しようがないので、焼きたてのまま鉄板に並べて販売しました。
その瞬間大行列に。味はそのままですが、見せ方も変えたことで、売り上げが上がったんです。
すぐ日本に戻り、新千歳空港店を改造しました。当初は1日50個ぐらいしか売れなかったチーズタルトが、最大で1日5000個売れるようになりました。
――新千歳空港で大ヒット。その後は?
JR札幌駅の東口にチーズタルト専門店を出店しました。さらに大ヒットし、焼きたてチーズタルトがブームになりました。
そこで自信をつけて、きのとやとは全く別資本で、東京で菓子会社を創業。チーズタルト専門店を続々と出店しました。4年で会社が急成長し、従業員数は約1000人に。マネジメントも苦労し、会社をファンドに売却しました。その後、海外に行きました。
渡米し客員研究員に 帰国後見直した"ブランド戦略"
――どのような目的で海外に?
次の人生を何に重きを置くか。自分を見つめなおすための勉強しようと思い、アメリカのスタンフォード大学で客員研究員ができることになり、渡米しました。
牧場をやりたいと思っていました。おいしいお菓子の3原則があるんです。1つはフレッシュなまま提供すること。2つ目は、効率を考えず、手間を惜しまないこと。3つ目は、高品質な原材料を使うこと。
原材料の乳製品、特に牛乳の差別化は買うだけではできない。ならば自分たちで牧場を経営し、たとえばエサを変え、牛の飼い方を変える。どこよりも良い原材料を使うことができると考えていました。
――学びを終え日本に帰国してからは?
2020年に帰国し、きのとやグループに入社しました。コンビニでおいしいお菓子が売っていて、新規参入も多い。おいしいお菓子が簡単に買える世の中で、勝っていくためには、世界観を作り、何を売りたいかを明確にし、際立ったブランドを作らなくてはならない。
そのためには、きのとやのブランド1本だけでは限界がある。いろいろなカテゴリーニッチなブランドをつくっていくことが勝っていくための施策だと考えています。
――目を引くパッケージやデザイン、ワクワクする商品が増えているように思えます。
お菓子の一番はおいしさ。おいしくないとまた買おうと思わなくなってしまいます。
ただまず買ってもらうためには、写真やお店のパッケージなどのクリエイティブが起点になってくる。重点的に投資することを何よりも重要視しています。
おいしさの次に重要なのは、デザインやクリエイティブだと明言しています。
――お菓子は人をワクワクさせる魅力が。幸せなビジネスですよね。
父は「お菓子屋ほど良い商売はない」とよく言っていますね。悲しいことあった人でも、お店に入った瞬間は幸せになる。これほど幸せな人たちと触れ合う商売はないと思っています。
従業員に重要なこと…ワクワク感&会社の成長「チャレンジは失敗前提で」
――BOSSとして大事にしていることは?
従業員にとっても一番重要なのは、ワクワク感であり、成長だと思っています。そのためには会社が成長ししないと新しいポジションも生まれない。会社がしっかり売り上げを伸ばし、チャレンジしていくことが重要だと思っています。
――社内で上手く回していくためのコツや心がけていることは?
新しいチャレンジは失敗前提でやっていく。数を打つことが重要だと思っています。「50%でもいいからすぐにやってみて」と伝えています。やってみてお客様やマーケットの反応を見て変えていけばいいので。
見たことがあるような菓子は売れない。美味しさは重要ですが、新しいコンセプトや考え方が支持されるので。10回のうち、1回が当たるぐらいの確率や感覚で新規事業や新ブランドにチャレンジしています。
――北海道に根ざした将来のビジョンはありますか?
北海道の未来は、観光と農業だと思っています。我々は観光業界の中の「お菓子のお土産」にフォーカスし、北海道を代表するお土産ブランドを複数持つグループを目指しています。
その先の話ですが、北海道の目指すべき姿はイタリアやフランスがモデルだと考えています。イタリアやフランスで主要な会社は食のカテゴリーニッチ。たとえば単品でチョコレートを大量につくり、全世界に輸出。そういう会社が国を支えています。
北海道も加工度の高い、全世界に支持されるようなお菓子を安くおいしくつくり輸出していく。お土産にとどまらず北海道初の商売をしていきたいと強く思っています。
北海道の菓子店はどこもお土産菓子を販売しているので、北海道以外で売ると価値がなくなってしまうので、売らない。でも、こんなにもおいしくて、安い。
北海道外や海外で売ることが重要だと思っているので、長期的なスパンで達成したいと思っています。
北海道の活性化を目指すボス達と北海道の未来と経営を楽しく真剣に語り合う「BOSS TALK」(ボストーク)。廣岡俊光キャスターがBOSSの本音に迫ります。
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📺毎週火曜 深夜24:25~ 北海道の8chで放送中!
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きのとや&千秋庵&SNOWS…行列つくる人気銘菓 次々と「北海道コンフェクトグループ」長沼真太郎さん #BOSSTALK
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