「日本一、町民に愛されること」を目指す道の駅が北海道東部、士幌町にあります。商品開発を手がけるばかりか、地域をまるごとプロデュース。観光資源としても注目されています。運営会社「株式会at LOCAL」代表取締役、堀田悠希さんに地方創生のあり方を聞きました。
――Tシャツに「シホロ」と文字が書かれていますね。道の駅で販売しているんですか?
そうなんです。可愛いですよね。スタッフ一同愛用しています。
――ほかにもいろいろな商品を扱ってますね。
3月に発売開始した「しほろ牛出汁ラーメン」。こちらは、3月だけで1000袋ずつ売れました。
――道の駅を訪れた際に"これだけははずせない"おすすめを1つ上げるとしたら?
一頭買いのしほろ牛を使い、本物の剣先スコップに乗った「剣先のステーキ」が看板メニュー。関東方面から訪れた観光客はびっくりしますね。おいしいですよ。
飲食業への憧れ…食の根幹"農業"学ぶため農協に就職
――ご出身は?
北海道東部、十勝の中札内村出身です。
――子どものころは?
5歳の時、父が帯広市から移住して、小さな焼き肉店をオープンしたんです。5歳なりに小さなエプロンを付けて、ホールに立って「サガリです! ジンギスカンです!」と言いながら、お手伝いしてました。
そのような環境で育ったので、幼いころから、食べることで幸せな空間をつくれるんだなと感じていましたね。
――学校もそういう選択をされたんですか?
そうですね。高校生の時から、地域の野菜や特産物を使ったカフェや飲食業を営むことに憧れを抱いていて。進学は経営を勉強できる道に進みました。
――卒業後は?
大学1年生の時、急に母が亡くなってしまったんです。札幌や東京で就職したいなと思っていたんですけど、私と同じタイミングで弟も就職。「俺は中札内村には帰らないから、父さんのことは姉さんに頼みたい」と弟に言われたので、私は中札内村に帰ろうと思いましたね。
いずれ飲食業を営むという志があったので、食の根幹である農業を学びたいと思い、第1キャリアとして、中札内村農協に就職しました。総合職でしたが、メインの業務は経理・事務。
中札内村農協は面白くて、特産品は枝豆なんですね。とことん枝豆づくし。札幌市や東京、大阪に行き、販売会を開き、直接、消費者と交流しました。
農家と都市部の消費者の懸け橋になるようなお仕事をさせてもらったので、私の中では良いキャリアだったなと感じています。
結婚を機に士幌町へ…農業女性のキャリアを支援
――士幌町との接点は?
最初は家業である焼き肉店を継ごうと思っていたんです。ただ、農業のことを知れば知るほど、興味が湧いてきて
職員でありながら、土日は十勝全域の若手農家のマルシェを手伝いました。その時の団体の代表が今の夫で、自然と付き合うようになり、あれよあれよと農家に嫁ぎました。
農業が仕事になったのですが、意外と農家のお嫁さんは、元々やっていた経理事務の仕事や、飲食店で培った接客業のキャリアを生かすのは難しいんだなと痛感した1年目でした。
そこから、農業に携わる女性がキャリアを生かすにはどうすればよいか、奔走しました。2014年に十勝の女性農業者を集めた団体「農と暮らしの委員会」をつくりました。
みんなでマルシェを開いたり、経営の勉強会をしたり。交流を今もやっています。
――かなりメディアにも取り上げられましたね。
農業女子プロジェクトは、農林水産省が推していたのもあり、話題になりました。
「日本一町民に必要とされる道の駅」夫と相談…運営を決意
――道の駅の運営をするまでは?
女性農業者にフォーカスが当たるとともに、同時進行で、"新 道の駅プロジェクト"が行政で動いていました。
元々第3セクターで運営していた道の駅を民間委託するにあたり、企業を選定する時、士幌町という小さな町はそれをできる企業がなかったんです。
「このままだったら町外の大きな企業が参入し、士幌町と関係ない商品が置かれてしまうのはあまりにさびしい。私たちで会社をおこしてやってみようか」。夫と話し決意したのが、2015~16年の話です。
――道の駅を運営するという勇気ある選択。
そもそも準備期間が1年しかなかったので、怖いという感覚よりは、私たちがやらなきゃという意識のほうが強かったです。
道の駅は観光客にどうウケるか、観光客にどう売れるかというところを主軸につくられます。
士幌町は観光地ではないので、町民たちの憩いの場であってほしい。町民たちが通ってお茶をしたり、野菜を出荷したりする場所にしたい。そうして形成されるコミュニティーに、きっとみなさんは期待してくれています。
私たちが会社を立ち上げた時に掲げたビジョンは「日本一町民に必要とされる道の駅」。今もそこを目指して走っています。
――道の駅の運営をスタートし何が大変でしたか?
わたし自身は大変だったことはあまりないいですが、開店当初、想像以上にお客さんが来たので、社員が過労に。
どうしたら従業員の体が楽になるか、お休みをとれるようになるか、お客さんの胃袋をどう満たしていこうかを考えるきっかけとなり、飲食だけではなく、商品開発に着手しました。
町民とともにつくる道の駅…地方創生のカギ=「学生のアイデア」を「大人が実現」
――道の駅内にはカフェやレストランもあり、いろいろな事ができる場所。アイデアの源は?
正規ルートでしか出回っていないものを、町の人から声でつくる。そこに、私たちスタッフのアイデアを結集して、一つの商品を作ることが多いですね。
――現在、力を入れていることは?
道の駅の居心地の良さをもう少し深堀りするために、公園をつくろうと思っています。何千万円もするアスレチックを置くのでなく、地元の中学生のアイデアを結集した公園を、地元の中学生と一緒に作ろうという取り組んでます。
今後の地方創生は、学生のアイデアを大人が忠実に実現していくことが、生き残りのカギではないかなと感じます。
コロナ禍で力を注いだ"人材教育" 「海賊船」から少しずつ「会社っぽく」
――コロナ禍をどう乗り越えましたか?
経営面は本当にしんどいですよね。売り上げのほとんどは、道の駅を訪れるお客さんでほとんどで成り立っていたので。
一番力を入れたのは人材教育。思いっきり時間を充てられました。今までやってこなかった社員教育に力を入れました。海賊船のような企業だったところを、少しずつ会社っぽくしながらも、良いところを残した経営に転換できたいい機会でした。
コロナ禍が明けてお客さんが押し寄せても、自分たちのビジョンのもと、邁進していこうという風になっていってるんじゃないかなと感じます。
私自身、コロナ禍になる前は出張が多かったのですが、コロナ禍になり、ずっと会社にいれたことも大きかったです。
「at Local」社名に込めた思い…価値を磨き全国発信
――進化した先の道の駅。どうなっていきそうですか?
自分でも想像できないです。今も昔も変わらず願うのは「この街に道の駅があって良かった」と。従業員にも、この街に住んでいる人にも、思ってもらえるような施設をこれからも目指していきたいです。
――北海道に根ざした道の駅として、これからどういうことを考えていこうと思っていますか?
新潟県の道の駅に声をかけてもらい「北海道物産展を企画してほしい」と言われました。
今までは士幌町の商品しか扱ったことがなかったでうが、新潟には、十勝全域の生産者さんから商品を集めて、新潟にどんっと送りました。それがすごい楽しかったんですよ。
士幌町で、十勝で、北海道で、価値を磨き、全国に発信したいという思いで「at Local」と会社名につけました。機会があるなら、北海道の素敵な商品をPRする仕事もしてみたいですね。
北海道の活性化を目指すボス達と北海道の未来と経営を楽しく真剣に語り合う「BOSS TALK」(ボストーク)。廣岡俊光キャスターがBOSSの本音に迫ります。
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目指すは"日本一 町民に必要とされる道の駅"…ローカルの魅力発信「at LOCAL」堀田悠希さん #BOSSTALK
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