4月、知床では春を告げるカニ漁がはじまりました。
捜索ボランティア 桜井 憲二さん:「ここ何年かではかなりいいほうです」
道東・羅臼町の漁師 桜井 憲二さん。
知床の海で40年以上、漁を続けています。
1年前の4月23日も深夜から漁に出ていました。
あの日のことはいまもはっきりと覚えているといいます。
捜索ボランティア 桜井 憲二さん:「しけの予報だったので船も対策をとり早々に家に帰った。昼前から風がでてきてた。『荒れるな』と」
自身が漁場としている知床半島の反対側…斜里町で起きた沈没事故。
これまで、海難事故を何度も見てきたからこそ、桜井さんは事故の一報からすぐさま「命」の危険を感じたといいます。
捜索ボランティア 桜井 憲二さん:「ほとんど(水温が)0度の海にいきなり放り出される。30秒もかからない。意識がなくなるのは」
沈没事故発生から10日後。
行方不明者の捜索が難航するなか、桜井さんは知床半島を歩いて捜索することを決めました。
捜索ボランティア 桜井 憲二さん:「もしも自分の家族や子供が犠牲になったら」
事故発生直後、海上保安庁や警察は航空機や巡視船による捜索が中心でした。
険しい岩場が多く、クマの生息地で襲われる危険もある知床半島の海岸。
生まれ育った場所だからこそ、桜井さんは自分たちに何かできると感じていました。
捜索ボランティア 桜井 憲二さん:「(捜索の)空白地帯は埋めたい。海保・道警とは違う立場で見たい。遺留品でも最後の形見になるかもしれない。心の整理をつける上では必要なことではないか」
8月、沈没現場から約12キロ離れた海岸で、女性の頭の骨を見つけました。
捜索ボランティア 桜井 憲二さん:「絶対どこかにあるだろうと思って探してみて、やはりあった。探せていない場所も何かあるはず。やっぱり遺族・家族のためにもっとみんな協力して探してほしい」
この徒歩による発見が、これまでの捜索方法に新たな道を見出しました。
捜索ボランティア 中島 圭一さん:「海も空からも捜索されているが、陸がされていない。桜井さんがいい出して『確かに』と思った」
捜索に加わった消防署勤務の中島圭一さんです。
危険が伴う海岸での捜索。
知床を知り尽くした桜井さんの経験が無ければ「徒歩による捜索」は難しかったといいます。
捜索ボランティア 中島 圭一さん:「(捜索中は)桜井さんがいい判断をしてくれて、『潮が満ちてくるぞ、引くぞ』と判断してくれて動きやすかった」
9月。知床岬から1キロほど離れた海岸で、今度は男性の遺体がみつかりました。
遺体はKAZU1を操縦していた船長でした。
6回におよんだ桜井さんたちの捜索。
男女2人を発見したほか、人の骨や衣類、靴などを見つけ海上保安庁に引き渡しました。
10月。
徒歩の捜索は冬の荒れた海で沿岸を歩けなくなったため、一旦中止に…。
ただ、桜井さんたちの成果をきっかけに、海上保安庁や警察の捜索が沿岸の陸上にも拡大され、次々と行方不明者のもとみられる骨などが見つかりました。
知床は流氷が去り、春がやってきました。
4月23日で、事故から1年。桜井さんは5月にも捜索を再開したいと考えています。
捜索ボランティア 桜井 憲二さん:「0.0何パーセントかもしれない。その可能性は探りたいと思う。家族はそこに行けない。家族の代わりに」
知り尽くした知床での悲劇。
まだ行方がわからない6人を探すため、桜井さんはまた歩きます。
「家族の代わりに」いまだ6人行方不明…歩み続ける"捜索ボランティア"…知床観光船沈没事故から間もなく1年 (23/04/21 19:00)
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