北海道の酪農がかつてない危機に立たされています。
2021年の暮れは消費が増加に転じたことで、生乳を廃棄することが回避できましたが、2022年はすでに廃棄の動きが出てきています。
生乳のヨーグルトをたっぷりと使ったサンラータン焼きそば。
山花温泉リフレ 三船 昭浩 中華調理長:「酸っぱさがヨーグルトを入れることによって、まろやかなコクが出て、お子様でも食べられるように考えました」
そして、カラッと揚げた牛乳豆腐のカツをトッピングしたカレー。
釧路市のレストランが北海道産の生乳をもっと消費してもらおうと開発したメニューです。
レストランの客:「毎回来るたびに頼んでいます。牛乳が良いんだと思います」
牛乳や乳製品の原料となる「生乳」。エサ代の高騰などが酪農家に重くのしかかっています。
友夢牧場 植田 昌仁 社長:「(今年のエサ代は)5億1000万円くらい。それだけ飼料費が上がっています」
一部の牧場では生乳を廃棄せざるを得ない事態に…。日本の食卓を支える北海道の酪農が存続の危機にさらされています。
ホースから排水溝に流れていく白い液体。牧場で搾られたばかりの生乳です。
友夢牧場 植田 昌仁 社長:「11月7日からなんですけど、(1日に)1トンから2トンくらい廃棄せざるを得ない状態です」
十勝の新得町で牛900頭を飼育する植田昌仁さんです。コロナ禍などで生乳の需要が減ったことで、4月から生産量を減らすように求められました。
2021年は1日29トンほど搾っていましたが、現在は1日25~26トンにとどめています。
牧場の牛をこの半年で50頭ほど減らしましたが11月、生乳を廃棄する苦渋の決断をしました。
友夢牧場 植田 昌仁 社長:「排水溝に流れているのを見ると、本当にやるせないというか、この思いをどこにぶつけていいのかという思いです」
追い打ちをかけるのがエサ代の高騰です。
友夢牧場 植田 昌仁 社長:「(エサ代)はうちの牧場だと、去年3億8000万円くらいだったのが、今年はあと1か月なんですけど、5億1000万円くらい。それだけ飼料費が上がっています」
ロシアのウクライナ侵攻と急激な円安により牛のエサとなる牧草やトウモロコシの価格が跳ね上がりました。
燃料費や資材費もかさみ、2022年は約1億円の赤字となる見込みです。
友夢牧場 植田 昌仁 社長:「牧場の経営が続けていけるのか、すごい危機を感じています」
十勝の豊頃町で牛1600頭を飼育している牧場です。生乳の廃棄はしていないものの、1頭あたり10万円の赤字が出ているといいます。
国は飼料価格高騰の緊急対策として、牛1頭あたり7200円を支給していますが、赤字の補填には足りません。
Jリード 井下 英透 代表:「搾れば搾るほど赤字になっているのが現状です。(国が支援策を)きちんとした形で示してもらわないと、私たちは経営を続けることができないと思っています」
北海道内の大規模牧場の経営者らがつくる団体で副部会長を務めている井下英透さん。酪農家の廃業がこれからも続くのではないかと懸念を強めています。
Jリード 井下 英透 代表:「北海道でもすでに180戸ほどの農家が経営をやめています。道内の酪農家、5000戸を切りました。これがさらに大きく減少するのではないかと非常に心配しています」
日本の食卓を支える北海道の酪農を守るため、何ができるのでしょうか。釧路市の農業関連団体は3月から生乳の消費拡大への取り組みを行っています。
釧路市内の温泉施設では道内の生乳を使ったソフトクリームを半額の160円で販売。
温泉に来た人には牛乳1本を無料で提供しています。
釧路市 農林課 道山 慶祐さん:「牛乳を消費することで、地元の大切な産業である『酪農が身近にあるということを再認識した』という声があります」
コップ1杯の牛乳からでも何かが変わっていくかもしれません。
北海道の酪農「危機」 すでに生乳"廃棄"… 約1億円赤字の牧場も 「おいしく使おう」で消費拡大へ (22/12/17 07:30)
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