胆振東部地震で37人が犠牲となった北海道・厚真町。
あれから4年余り、地元の吹奏楽団が復興の音色を響かせました。
♪「春よ、来い」
11月12日、町民や災害ボランティアなど約150人が会場で見守る中、厚真町で開かれた演奏会の様子です。
被災から4年余り感謝と追悼のメロディーが響くまでの歩みを取材しました。
厚真町民吹奏楽団。厚真町民による厚真町民のための楽団です。
この日は団員の仕事終わりの夜に、町内の児童会館で発表に向けて練習をしていました。
厚真町民吹奏楽団 高橋 尚揮さん:「あまり合同演奏というのはなかなか無いので楽しみと言えば楽しみですけど、不安でもあります」
楽団のパーカッション担当、高橋尚揮さん。尚揮さんは高校生のころから楽団に参加しています。
参加するきっかけは楽団で指揮者を務めていた「かずおじさん」こと松下一彦さんです。
松下 一彦さん:「ありがとうございます。木星」
松下さんは尚揮さんの祖母の弟に当たります。
ただ、この日の練習にかずおじさんの姿はありません。
4年前の9月、大規模な土砂崩れが発生し37人が命を落とした厚真町。松下さんもその1人で自宅が土砂崩れに巻き込まれ、長男とともに犠牲となりました。
厚真町民吹奏楽団 高橋 尚揮さん「優しくて真面目な人。みんなが慕っている人」
松下さんは農業を営みながら、楽団で20年以上指揮者を務め、楽団にとっての大黒柱のような存在でした。
被災後は松下さんの遺志を継ぐ形で活動を再開しましたが、その大黒柱を失った影響は大きいものがありました。
厚真町民吹奏楽団 高橋 尚揮さん:「本番とか癖で前向いて誰もいないときに、いないないないいないわって感じになっちゃう」
厚真町民吹奏楽団 下司 義之 団長:「団の中で意見が食い違うときに松下さんだったらこういう風にふわっとまとめてきたよなと」
迷った時、メンバーは松下さんを思い浮かべます。
再始動した楽団は11月の演奏会への参加も決めました。
地震がおこる4日前、かずおじさんと最後に一緒に演奏した「狙いうち」も演奏する予定です。
狙いうち♪
厚真町民吹奏楽団 高橋 尚揮さん:「震災って起きた当時はすごい鮮明に覚えているんですけど、どうしても時間経つとやっぱり風化していくもんじゃないですか。だから、なるべくそういう風にならないようにしていきたいというのはありますね」
今回の演奏会を企画した副指揮者の山野下さんは、支援してくれた人たちに感謝を伝えたいと意気込みます。
厚真町民吹奏楽団 山野下 誠さん:「やっぱりお世話になった方々に聞いていただけれたらありがたいなと思ってます。感謝ということでありがとうということかなと」
厚真町民吹奏楽団 高橋 尚揮さん:「今回は感謝の集いでそれ自体初めてですが立派なものにしていきたいと思います」
いよいよ本番です。
♪「狙いうち」♪「RPG」
生前のかずおじさんと一緒に演奏してきた曲を力強く、そしてこれまでの温かい支援に感謝を込めて奏でました。
観客:「素晴らしかったです」
観客:「心が癒されるというのがありますからね。すごく良いことだと思うし、ずっと続けてほしい」
観客:「なかなか一緒に歌うことできなくてもここで口ずさむことはできるから本当に良かったです」
演奏が終わり安心した表情の尚揮さんの姿が。
厚真町民吹奏楽団 高橋 尚揮さん:「皆さん聴いてくれてよかった。(松下さんなら)よくやったんじゃないかといつも通り。そういうこと思い出しますね」
♪ふるさと
被災から4年余り。町の風景は震災当時から徐々に変わりつつあります。そして町には次の世代に伝えていく希望のメロディーも響いています。
亡き指揮者の思いを胸に…厚真に響く"希望のメロディー"胆振東部地震から4年吹奏楽団の歩み (22/11/20 10:00)
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